米労働省は現地時間11日、4月の消費者物価指数(CPI)を発表する。数カ月に及ぶインフレ上昇を経て、明日のCPIはようやく、物価上昇の減速を示すかもしれない。だが、安心はできない。必ずしも物価上昇圧力が緩和していることを意味するわけではない。
ビットコイン(BTC)は最近、マクロ経済指標に大きく左右されているため、トレーダーはCPIに注目している。特に、40年ぶりとなる高インフレに対応し、米連邦準備理事会(FRB)が積極的な金融引き締めを行うとの見通しから、今週、ビットコインは10カ月ぶりの安値となる3万ドル付近まで下落した。
FactSetのデータによると、4月のCPIは前年比8.1%、3月の8.5%を下回ると予測されている。しかし、CPIは1年前の2021年4月に大きく上昇したため、前年同月比の数字だけでは誤解を招く可能性がある。この点が、4月のCPIを読み解くポイントとなるだろう。
「昨年春にインフレ率は大きく上昇したため、前年比には注意が必要だ」と元ウェルズ・ファーゴ(WFC)のチーフエコノミストでDynamic Economic Strategyの創業者ジョン・E・シルビア(John E. Silvia)氏は述べた。
資産運用会社アライアンス・バーンスタイン(AllianceBernstein)のシニア・バイスプレジデント、エリック・ウィノグラッド(Eric Winograd)氏も同意見。
「前年比の数字は、ほぼ間違いなく下がるだろう。前年比に特に大きな意味はない。なぜなら、物価が今、どうなっているかを知ることはできないから。1年前の物価がどうだったかを教えてくれるものだ」
エネルギー価格、特にガソリン価格は3月の物価上昇の半分以上を占めていたが、4月はより安定しており、エコノミストがCPIの上昇の鈍化を予想する一つの要因となっている。
トレーダーは「コア・インフレ率」に注目
トレーダーはむしろ、価格変動が大きい食品とエネルギーを除いた「コア・インフレ率」に注目している。コア・インフレ率は、3月から0.4%の上昇が予想されている。
「コア・インフレ率の数字が重要だ。需要と供給のバランスが崩れているという認識が広まっており、コア・インフレ率を比較的高い水準に保つ要因となる可能性がある」(ウィノグラッド氏)
「賃料の問題が表面化しつつあるようで、コアCPIはまだピークを迎えていないかもしれない」(シルビア氏)
FRBのパウエル議長によると、現在のインフレの主な要因はサプライチェーンの混乱と消費者需要、だが賃金の圧力が現れ始めるのではないかとの新たな懸念がある。先週、米労働省は4月の雇用市場は引き続き堅調な伸びを示し、賃金を押し上げる可能性があると発表した。
また、アメリカの雇用コスト指数を見ると、4月、雇用コストは20年ぶりの高い上昇となった。
4月のCPIをFRBはどのように受け止めるだろうか。だがFRBの方針はすでに決まっているかもしれない。パウエル議長は先週、0.75%の利上げは検討されておらず、「今後数回の会合では、0.5%の利上げが検討されるはずだ」と語っている。
「FRBが方針を変えるには、きわめて劇的な何かが必要だ」とウィノグラード氏は述べた。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:CoinDesk Research, Department of Labor Statistics, FactSet
|原文:Past-Peak Inflation Might Be Misleading as Price Pressures Continue to Mount