米銀最大手JPモルガン・チェース(J.P.Morgan Chase)のジェイミー・ダイモン(Jamie Dimon)CEO(最高経営責任者)は、フェイスブック(Facebook)が主導するリブラ(Libra)仮想通貨計画が短期的にJPモルガンに影響を与えることはないだろうと述べた。
7月16日に行われたアナリストとの電話会見で、ダイモン氏は、銀行口座を持たない人々のための世界的通貨として宣伝されているこの取り組みが、どうJPモルガンに影響するかを推測するには、時期尚早だと示唆。米CNBCが報じた。最新の年次報告書によると、JPモルガンは米国のリテール(個人向け)預金残高で首位に立っている。
仮想通貨を通じた、フェイスブックの金融業界への参入に関して聞かれると、ダイモン氏は「我々は今から3年後にリブラについて話すことになるだろう」と答えた。「広い視野で見ると、我々はブロックチェーンについて7年間にわたり協議を進めてきたが、ほとんど何も起きていない」と同氏は加えた。
ダイモン氏は以前、仮想通貨企業が従来の銀行と競合する可能性はあると述べたことがある。しかし、同氏は、こうした技術を一般公開する際には規制が重要な要素になるため、導入時期は遅れる可能性があるとする考えを持っているようだ。
「政府は、資金を持つ者やそれを動かす者は適切に管理された規則に従うものだと主張するだろう。誰もがテロや犯罪行為を支援したいとは思わないだろう」とダイモン氏。
フェイスブックは2020年に、米短期国債や法定通貨などで構成される資産バスケットに裏付けされた仮想通貨を市場投入する計画を明らかにしたが、その後、規制上の懸念がすべて解消されるまでは同通貨のローンチを行わないとしている。
「競争することはかまわない。我々が要求するものは常に同じで、公平な競争環境だ」とダイモン氏は述べた。
JPモルガンは2月、ブロックチェーン上でデジタル通貨「JPMコイン」を使った、同行の法人顧客間における送金実験に成功したと発表。さらなる試験の開始に先立ち、JPモルガンでブロックチェーンのプロジェクトを統括するウマル・ファルーク(Umar Farooq)氏は「技術は非常に優れているが、許認可取得に時間がかかる。しっかりと説明していかなければならない」と述べている。
一方、フェイスブックでブロックチェーンのリード開発者を務めるデービッド・マーカス(David Marcus)氏は、7月16日に行われた仮想通貨に関する上院銀行委員会公聴会で、リブラは「銀行口座の代替として設計されていない」と述べた。
翻訳:新井朝子
編集:佐藤茂
写真:CNBCより「ジェイミー・ダイモンJPモルガンCEO
原文:JP Morgan’s Jamie Dimon: Facebook’s Crypto Isn’t a Short-Term Concern