4500億円のビットコインはどこへ?──テラの準備金を分析会社が追跡

35億ドル(約4500億円)はどこへ?

この2、3週間、ネットの話題を追っていたなら、ステーブルコイン「TerraUSD(UST)」の少なくとも一部の裏付けとなるはずだった35億ドルのビットコインが、何の役にも立たなかったことはご存知だろう。

35億ドルの準備金がデペッグ(米ドルからの逸脱)を防ぎきれず、巨額の資産が失われたことは明らか。だが一方で、35億ドルがどのように使われ、今どこにあるかは誰も知らない。

Terra LabsのCEOであるドー・クォン(Do Kwon)氏は、準備金の使用についての文書をまもなく公開するとツイートしている。ブロックチェーン分析会社エリプティック(Elliptic)のトム・ロビンソン(Tom Robinson)氏によると、ビットコインがどこにあり、どのように使われたかは、損失を取り戻そうとする投資家にとってきわめて重要なことだ。

私も私が関係するいかなる機関も、今回の件から利益を得ていない。私は今回の危機の間にテラ(LUNA)もUSTも売却していない。

テラがいつ文書を公開するかはわからないが、エリプティックは準備金の行方を追っている。テラエコシステムの成長を促進するために設立されたNPO「LUNA Foundation Guard(LFG)」が今年1月から5月にかけて購入した約8万394ビットコイン(約35億ドル)の準備金の行方だ。

先週初め、UST価格が1ドルから逸脱し始めると、LFGは準備金として保有するビットコインの売却とUSTの購入を開始すると発表した。5月9日朝、LFGは「USTのドルペッグを守るために7億5000万ドル相当のビットコインを相対取引(OTC)会社に貸し出す」と発表。クォン氏はその後、ビットコインを「取引に使用する」と明言した。

エリプティックによると、発表と同じ頃、LFG関連のビットコインアドレスから、2万2189ビットコイン(この時点で、約7億5000万ドル相当)が新しいアドレスに送られた。同日夜、さらに3万BTC(9億3000万ドル相当)がLFG関連の別のウォレットから、この同じアドレスに送られた。

出典:Elliptic

つまり、数時間のうちに5万2189ビットコインが複数の取引を通じて、アメリカの暗号資産取引所ジェミニ(Gemini)にあるアカウントに移された。

きわめて多額のビットコインを準備金として保有する目的は、価格を1ドルに押し上げるためにUSTを購入するためであり、取引所に送られた理由もそのためかもしれないが、ブロックチェーンデータからは、USTを支えるために売却されたかどうかを特定することはできないとロビンソン氏は述べた。

こうした動きによって、テラの準備金は残り2万8205ビットコインとなったが、協定世界時(UTC)10日午前1時、残りのビットコインは1回の取引でバイナンス(Binance)にある口座に移された。ロビンソン氏によると、これも同様に、売却されたのか、別のウォレットに移されただけなのかは判断できないという。

出典:Elliptic

「我々が言えることは、取引所に移動したということだけ」「どのように使われたのかはまったくわからない。売却されたかもしれないし、取引所に保管されているかもしれない。あるいは再度引き出され、誰かのウォレットにあるのかもしれない」とロビンソン氏は述べた。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Elliptic
|原文:What Happened to the $3.5B Terra Reserve?