ビットコイン(BTC)は16日、ほぼ横ばいで推移したが、一部のアルトコインは下落し、トレーダーのリスク意欲が低下していることを示した。
テラ(Terra)ブロックチェーンのガバナンストークン、テラ(LUNA)は24時間で18%下落、アバランチ(AVAX)とポルカドット(DOT)は5%下落した。
だが先週、価格下落中に取引高は増加し、ボラティリティの低下とともに、暗号資産の短期的な上昇の可能性を示しているかもしれない。
テクニカル指標は、ビットコインの弱い回復を示している。だがチャートにはネガティブなモメンタムも見られ、3万3000~3万5000ドル付近で回復は頭打ちとなりそうだ。
Terraform LabsのCEO、ドー・クォン(Do Kwon)氏はテラ(Terra)ネットワークの「リバイバル・プラン」を発表。クォン氏はテラをTerraUSD(UST)なしで新しいチェーンにフォークすることを提案した。
先週のUSTのデペッグの間、「USDコイン(USDC)、バイナンスUSD(BUSD)、DAIなどのメジャーなステーブルコインは、投資家が(USTの影響の)伝染リスクが少ないと考える資産に移動したため、1%〜2%のプレミアムとなった」とGlassnodeはブログに記した。つまり現状、USTをめぐるリスクは抑制されていることを示している。
最新価格
●ビットコイン:29,727ドル、-1.98%
●イーサリアム:2,017ドル、-3.39%
●S&P500:4,010、-0.36%
●ゴールド:1,823ドル、+0.88%
●米国10年債利回り:2.88%
取引の活発化
ビットコインの平均取引高は先週、1月以来の高水準に向かって上昇した。市場は極端な弱気センチメントにあった。
アーケーン・リサーチによると、取引高は先週末に減少したものの、4月に記録した平均取引高の約2倍になっている。
だが先物市場では、ビットコインの建玉は、3月28日の直近のピークから減少している。これは、最近の下落が先物市場のレバレッジ・トレーダーではなく、現物市場の取引によることを示している。
ビットコインのインプライド・ボラティリティも先週の下落を受けて高止まりしている。さらにアーケーン・リサーチによると、日中ボラティリティは昨年5月以来の高水準となっている。
「日中ボラティリティ上昇の主要因は、レバレッジポジションの解消によるデリバティブの大規模な不安定化であり、関連するすべての市場にノックオフ効果を引き起こす可能性が高い」(アーケーン・リサーチ)
通常、ボラティリティ上昇は、特に価格下落が安定すれば、短時間で収まる。先週の下落に続く暗号資産と株式の回復が弱いため、一部のトレーダーは慎重姿勢を崩していない。
シンガポールのQCP Capitalは、市場が不安定なことを見据えて、長期間ボラティリティのポジションをオープンにしておくつもりだとテレグラムで述べた。同社は、将来的にさらなるボラティリティを引き起こす可能性のあるUSTの動きを注視している。
一方で、ボラティリティ上昇を打ち消す機会を狙う者もいる。「短期的にはスポット(現物)価格は底を打った可能性が高く、オプションのボラティリティはピークに達した可能性が高い」とGenesis VolatilityのCEO、グレッグ・マガディーニ(Greg Magadini)氏は15日、ブログに記した。
アルトコイン
●USTの準備金、蒸発:ステーブルコインTerraUSD(UST)の準備金として大量のビットコインを購入していたLuna Foundation Guard(LFG)は、数日間の沈黙を破り、30億ドル以上の準備金(そのほとんどはビットコイン)が1億ドルにまで減少したことを認めた。USTがデス・スパイラルに陥ったため、LFGはUSTのドルペッグを回復するために準備金を売却したと述べ、関係者を救ったという疑惑を否定した。ブロックチェーン分析会社エリプティック(Elliptic)は、準備金のビットコインが大手暗号資産取引所のジェミニ(Gemini)とバイナンス(Binance)に移動したことを突き止めた。
●投資家はステーブルコインから退避:UST崩壊後、市場が暗号資産版のリーマン・ショックに耐えようとするなか、ほとんどのステーブルコインは投資家からの信頼を失い、資金流出を経験した。CoinMarketCapのデータによると、テザー(USDT)は5月に80億ドルの時価総額を失い、ダイ(DAI)の供給量は20%減少、フラックス(FRAX)はほぼ半分になった。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:CoinDesk
|原文:Market Wrap: Cryptos Mixed as Volatility Fades, Traders Expect Weak Recovery