ビットバンク、三井住友THと提携──暗号資産の信託業務で新会社【更新】

暗号資産(仮想通貨)取引所のbitbankを運営するビットバンクは5月24日、三井住友トラスト・ホールディングスと提携したと発表した。年内にも、デジタル資産の信託事業を専門とした「日本デジタルアセットトラスト(JADAT)」を立ち上げる。

新会社では、機関投資家や事業会社から暗号資産やNFT、セキュリティートークン(社債や不動産などを裏付け資産とするデジタル証券)などの管理を手掛ける。三井住友トラスト・ホールディングスは、日本カストディ銀行などを傘下に有する。ビットバンクの暗号資産のノウハウと、大手金融機関の業務知見を融合する。

事業会社や機関投資家が暗号資産に投資するケースは、テスラやマイクロストラテジーなどの米国企業が挙げられるのに対し、日本ではほぼ見られなかった。ビットバンクによると、「国内では信頼に足る暗号資産のカストディ会社が存在していなかった」ことも理由として考えられるという。

設立準備会社を設立

日本デジタルアセットトラスト設立準備株式会社を設立し、金融庁所管の信託業法のライセンス取得を目指す。また、今後、証券会社など他の金融機関からも参画を募る。

国内では、野村ホールディングスがデジタルアセットに関わる取り組みを始めている。5月、暗号資産トレーディングとNFT、DeFi(分散型金融)事業を手がける子会社を海外に設立すると発表している。

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海外では伝統的金融機関が参入

アメリカでは、伝統的な金融機関の暗号資産業界に参入している。米ドルに連動するステーブルコイン「USDC」を発行するサークル(Circle Internet Financial)は3月末、BNYメロンが準備資産のカストディアンとなると発表。さらに4月、世界最大の資産運用会社であるブラックロックがアセットマネージャーとなることを発表している。

ニューヨークに本社を構え、複数の暗号資産ファンドを運営するグレースケール(Grayscale)は、米コインベースカストディに資産を保管していることで知られる。

記者発表に登壇した廣末社長

ビットバンクは同日、東京都品川区の本社で記者発表を実施。廣末紀之社長が、新会社の事業概要を説明した。2022年末頃の社員数は20名程度となる予定。

また、「時期は未定」としながらも、独自ステーブルコイン発行を検討することを明らかにした。信託業法に基づく関係当局の登録後には、「日本デジタルアセット信託」に商号を変更するという。

|取材・テキスト:菊池友信
|編集:佐藤茂
|トップ画像:bitbankの発表文より
|編集部より:記者発表の内容を追記して、記事を更新しました。