暗号資産ファンド、2021年7月以来の流出額──前週の買いから一転

暗号資産(仮想通貨)ファンドは先週、暗号資産と株式市場の下落を受けて、2021年7月以来の流出超となった。米連邦準備理事会(FRB)が来月からバランスシートを縮小することが要因の一つとなっている。

コインシェアーズ(CoinShares)によると、5月20日までの1週間、暗号資産ファンドへの資金流出入額は前週から3億8000万ドル減少し、約1億4300万ドル(約183億円)の流出超となった。今年2番目の流出額だ。

「この1年に暗号資産に参入した個人投資家と機関投資家の双方が大幅な損失を抱えていることから、暗号資産に対する信頼は大きく揺らいでいる」とOandaのシニア・マーケットアナリスト、エドワード・モヤ(Edward Moya)氏は述べた。

わずか2週間前はテラ(Terraブロックチェーン)の暗号資産テラ(LUNA)とステーブルコインTerraUSD(UST)の崩壊による市場下落を買う動きがあり、資金流入額は2022年の最高額まで上昇していたが、雰囲気は一転し、荒れ模様となった。

ビットコイン(BTC)は5月9日の週に、2020年12月以来の安値となる2万5892ドルまで下落。その後はやや回復し、3万ドル付近で横ばいとなっていた。日本時間24日9時30分頃には3万ドルを割り、2万9200ドル付近となっている。

出典:CoinShares

ビットコインから分散

ビットコインファンドは、1億5400万ドルの流出超となり、前週の2億9900万ドルの流入超から一転した。

地域別では、北米の暗号資産ファンドは約1億5400万ドルの流出超、一方、ヨーロッパのファンドは1200万ドルの流入超。北米最大のビットコインETF(上場投資信託)を運用するパーパス(Purpose)は、1億5000万ドルの流出超となった。

一方、マルチアセットファンド(複数の暗号資産を運用するファンド)は、970万ドルの流入超となった。投資家が保有資産の分散化を意図しているため、暗号資産市場のボラティリティからメリットを受ける可能性があり、年初からの流入額は1億8500万ドルにのぼっている。

コインシェアーズのリサーチ責任者ジェイムズ・バターフィル(James Butterfill)氏は「ボラティリティの高い時期に投資家は、単一の資産に投資するファンドよりも、マルチアセットファンドをより安全と捉えているのだろう」と述べた。

アルトコインに投資するファンドには、あまり動きがなかったが、ポルカドット(DOT)ファンドとカルダノ(ADA)ファンドはそれぞれ100万ドルの流入超となった。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:CoinShares
|原文:Crypto Funds Shrink to Lowest Since 2021 Summer Bear Market