仮想通貨取引所コインベース(Coinbase)は、初心者レベルの仮想通貨ユーザーがベテラントレーダーの動きを理解するのに役立つ新ツールを発表した。
コインベースは、2019年7月17日(現地時間)、新たなシグナルツール群を発表した。それらツールの1つは、同取引所の上位トレーダーの活動を配信する。
コインベースの公式ブログによると、「『上位保有者活動(top holder activity)』シグナルは、特定の資産の保有残高において上位10%に入るコインベース顧客に注目し、過去24時間の取引でその資産のポジションの総額を増やした人(買い)、そして減らした人(売り)の割合」を表示する。「この情報は約2時間ごとに更新される」
コインベースの広報担当者がCoinDeskに語ったところによると、上位保有者活動は、機関によって設立されたアカウントを除き、取引所全体のアカウントから集計される。
同社は、上位ユーザーに関するデータを共有するだけでなく、個人ユーザーがより多くの情報に基づいて意思決定を行えるように、他にもデータツールを提供している。
コインベースの顧客は、資産が売却、または別のアドレスに移動されるまでに保有される日数の中央値を見ることもできるようになる。また、資産のコインベース上での人気度や、他の暗号資産との相対的な価格相関を測定するツールなども提供される。
コインベースによると、これらの「同社限定の」データツールは、17日から全てのユーザーに無料で提供されるという。
コインベースの広報担当者は、新ツールを追加する目的について、CoinDeskに次のように語った。
「これらの新しいシグナルにより、個人投資家、特に仮想通貨を初めて使う人たちがより多くの情報に基づき、多様性に富む仮想通貨ポートフォリオを管理することが促進されることを期待する。シグナルには、投資初心者が投資目的に合った適切なポートフォリオを構築するのに役立ってほしい」
セールスポイント
コインベースのシニアエンジニア、ウィル・ドレボ(Will Drevo)氏によると、これらのツールを用いて初期の分析を行った結果、コインベースの上位仮想通貨アカウントは、ポートフォリオ内のポジションを売るよりも買う傾向があるという。
別のブログ記事で、ドレボ氏はこう書いている。
「歴史的に見ると、上位保有者が異常に強気、もしくは弱気の場合、これは市場状況の変化を示してきた。常にそうだとは限らないが」
要するに、厳密にシグナルに基づいた投資戦略を活用することは、トレーダーにとって必ずしも有益ではなく、投資戦略やアドバイスとしてそのまま受け止めるべきではない、とドレボ氏は記している。むしろユーザーには、自身のニーズ、資金確保手段およびリスク許容度に基づき「独自の仮想通貨戦略を作成、管理」することが推奨される。
「判断できない時は、金融専門家への相談を検討すること」とドレボ氏は薦めている。
2012年創業のコインベースは、昨年後半、ベンチャーキャピタルから3億ドル(約323億円)調達し、評価額は80億ドルを超えた。先週報じたが、同社は、保険大手のエーオン(Aon)の助けを借りて、まもなく自社専用の保険会社を設立するかもしれない。
翻訳:新井朝子
編集:町田優太
写真:Coinbase CEO Brian Armstrong via CoinDesk archives
原文:Coinbase Releases New Data Tools for ‘First-Time’ Crypto Investors