ビットコインと株式市場のデカップリング──まだ起きていないが、いずれ起こる【オピニオン】

アメリカは今日5月30日は祝日です。なので今回のコラムは、少し突拍子もない(かつ、統計的にはほぼ意味のない)ライトな内容でお届けします。


「デカップリング」は、ビットコイナーとクリプトネイティブにとって、新たな「妄想」か「根拠のない希望」のようなものだ。デカップリングが起これば、ビットコイン(BTC)は上昇し、株式は上昇すると考えている。

だが本来、その意味は少し違う。デカップリングは、ビットコイン価格が株式市場の動きと乖離し、株価が下がるとビットコインが上がる、あるいは株価が上がるとビットコインが下がることをいう。つまり、ビットコインと株価がマイナスの相関関係を持つことだ。ビットコインが100万ドルになれば、株価はゼロになる…。

少し前までビットコインは、ほぼすべてのマクロ資産(ゴールド、S&P500、債券、米ドル)と相関関係がなかったので、少し奇妙な現象といえる。2021年のリサーチレポートでも触れたが、そのときの図と文章は以下のとおりだ。

ビットコインとの90日相関関係(出典:CoinDesk Research, St. Louis Fed, Yahoo Finance)

2021年は全般的に、マクロ資産はビットコインと無相関の範囲(-0.2~0.2)に収まっている。これは、ゴールドと株価がビットコインとややプラスの相関関係を示し、米ドルがややマイナスの相関関係を示した2020年下半期とは対照的。ビットコインは、ほかにはないユニークなマクロ資産だ。

無相関であることは素晴らしいこと(ビットコインのユニークな特徴)だが、ビットコインが株価とマイナスの相関関係を持つことは魅力的と言えるだろうか? 株価はゼロになり、ビットコインは永遠に上昇し続けるのだろうか?

デカップリングによって、従来の金融業者はビットコインをリスクオフ資産として考えることになる。そう、株式よりもリスクが低いと考え始める。今は主に投機の手段となっているボラティリティの大きなビットコインが、デカップリング後は株式よりもリスクが小さくなる。

デカップリングはいつ起こる?

デカップリングも「徐々に、そして突然」起こるだろう。残念ながら、2022年ではなさそうだ。ビットコインとS&P500、ナスダック総合指数の2022年の90日相関関係を見てみよう。

出典:CoinDesk Research, TradingView

明らかにデカップリングではないが、興味深い。2022年、S&P500とナスダックは、ビットコインとの弱いプラスの相関関係から強いプラスの相関関係(>0.7)に移行した。強いマイナスの相関関係が意味するようなインパクトはないものの、ビットコインの値動きはマクロ資産と歩調を合わせている。

ちょうど1年前、S&P500とビットコインの相関係数はゼロに近いマイナスだった。相関関係が1年でゼロに近い状態から強いプラスへと変化したことは驚くべきことだ。ちなみに、2019年は強いマイナスだった。

つまり、ビットコインはきわめてユニークな存在で、我々が知っている他のマクロ資産とは違う。

ビットコインの(すでに我々が知っている)ユニークさを除けば、こうしたデータから何かを読み取ることは難しい。だが25日にチャートを見ていると、きわめて注目すべきこと(だが、統計的にはほとんど意味のないこと)に気づいた。

出典:TradingView

最初の方(チャートの左側)には、デカップリングの兆候が表れている。いつデカップリングが起こるのだろう? すぐかもしれないし、すぐではないかもしれない。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:TradingView
|原文:The Bitcoin-Stock Market Decoupling Isn’t Happening Yet, but It Totally Will