イーサリアム、ガス代低下──「The Merge」に影響か

ドライバーは高いガソリン代に不満を漏らしているが、暗号資産トレーダーには逆の現象が起きている。イーサリアム・ブロックチェーンのガス代(取引手数料)は過去最低水準になっている。

データを見ると、平均的な取引手数料は現在約3.70ドル。年初は、38ドル〜52ドルだった。

出典:bitinfocharts.com

つまり、NFTマーケットプレイスのOpenSeaでNFTを売ったり、分散型金融(DeFi)プロトコルのUniSwapで取引するといったガス代のかかる取引は、史上最低レベルになっている。

トレーダーはTerra(テラ)ブロックチェーンのステーブルコインTerraUSD(UST)とネイティブ暗号資産テラ(LUNA)の崩壊に驚き、取引に戻ることをためらっているようだ。データを見ると5月、テラが崩壊した数日間にガス代は大幅に上昇、その後にUniSwapの取引が盛んになっている。トレーダーは市場のボラティリティから身を守るためにポジションを立て直したようだ。

出典:Glassnode

問題は、トレーダーが市場に戻ってこないことだ。ガス代は低く、UniSwapは(比較的)暇で、イーサリアム価格は下降傾向にある。イーサリアム価格は回復しつつあるが、現時点ではアクティブなトレーダーがそれほど多くないため、需要は弱い。

ソラナ(SOL)とアバランチ(AVAX)の価格も回復し始めているが、デイリーのアクティブユーザー数は回復していない。これらのブロックチェーンはどちらもイーサリアムのガス代が高い時期に作られたため、イーサリアムのガス代が低いことが原因かもしれないが、トレーダーは状況が落ち着くことを待っている可能性が高い。

イーサリアム・ブロックチェーンの「The Merge」も影響を受けるかもしれない。ガス代が低ければ、プルーフ・オブ・ステーク(PoS)移行の緊急性は薄れるからだ。The Mergeは以前は6月とされていたが、「秋」にずれ込み、予測市場は10月〜年末と予想している。ガス代が低水準で推移すると、移行はまたも延期されるかもしれない。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Glassnode
|原文:First Mover Asia: Bitcoin Jumps Above $31K; Ether Gas Fees Drop