【US市場】ビットコイン、下落から上昇の急展開──トレーダーは底値を探る動き

ビットコイン(BTC)は6月7日、2万9200ドルに向けて下落した後、米東部時間の夜半に3万ドル付近まで上昇する急展開を見せた。日本時間8日9時には3万1000ドルを超えている。

一方、アルトコインはまちまち。チェーンリンク(LINK)は24時間に11%上昇したが、インターネット・コンピューター(ICP)は6%下落、ソラナ(SOL)は4%下落した。

市場センチメントは弱気のままだが、一部のアナリストやファンドマネージャーは、過去1カ月の大きな損失からの回復を期待して、価格の底を探し始めている。

「デジタル資産の各サイクルでは、弱気相場は買い集めの時間であり、強気サイクルが再開されたときに利益は指数関数的なものになる」とデジタル資産投資会社Two Primeはメールに書いている。同社はビットコインは3万3000ドル以上、イーサリアム(ETH)は2200ドル以上、つまり、現在の価格水準よりそれぞれ約10%、約20%上昇したときにポートフォリオは低迷から回復すると考えている。

Two Primeのデジタル・アセット・ファンドの5月のリターンはマイナス31.4%と予想され、イーサリアムやソラナなどのアルトコインの低迷に大きな影響を受けた。一般的にアルトコインは下落相場ではビットコインよりも下落する。

最新価格

●ビットコイン:31,163ドル、-0.62%
●イーサリアム:1,853ドル、-0.40%

●S&P500:4,161、+0.97%
●ゴールド:1,856ドル、+0.89%
●米国10年債利回り:2.97%

サイクルの底を見極める

ほとんどの指標は、ビットコインが弱気相場の中間あるいは終盤に近づいていることを示している。例えば、供給されている全ビットコインの平均原価基準の推定値である実現価格は2万3600ドル。一部のアナリストは、これを重要なサポートレベルと見ており、底値を示す可能性がある。

「歴史的に、市場全体の原価基準、つまり実現価格はきわめて健全なサイクルのサポートレベルであり、ビットコインは取引日の84.9%をこのレベルを上回って終えている。つまり、取引日の15.1%のみが実現価格を下回っている」と暗号資産データ会社グラスノード(Glassnode)はブログに書いている。

底値を確認するには、ビットコインが実現価格の水準より上に戻る必要があり、これまでの弱気相場の終わりに見られたことだ。つまり、市場参加者はまだ完全にキャピチュレーション(投げ売り、損切り)していないことを示している。

出典:Glassnode

「ビットコインの弱気相場はまだ終わっていないが、かなりの部分が過ぎた。市場には、短期トレーダーはすでにキャピチュレーションしたという噂があふれている」とFxProのアナリスト、アレックス・カプチケヴィッチ(Alex Kuptsikevich)氏はコメントした。

むしろ強気相場は、中期投資家や一部の長期投資家さえもキャピチュレーションしたときに始まり、低価格が買い手を引き付ける可能性があると同氏は指摘。ビットコインは「価格が2017年の高値(1万9800ドル付近)に戻るまで、このポイントに達する可能性は低いだろう」と述べた。

アルトコイン

サークル、Polygon USDCをサポート:ステーブルコインのUSDコイン(USDC)の発行を手がける米サークル(Circle)は、Polygon USDCのサポートを追加した。USDコインの流通額は約540億ドル、テラUSD(UST)の崩壊後、50億ドル以上増加している。

Binance.US、ステーキングサービス開始:Binance.USは、ステーキングされた暗号資産に高い利回りを提供するステーキングサービスを開始した。ライバルの米コインベース(Coinbase)、ジェミニ(Gemini)に対抗することが狙い。ユーザーは最大で年18%の利回りを獲得することができる。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Glassnode
|原文:Market Wrap: Bitcoin Close to $30K as Investors Search for a Bottom