GMOインターネットが、Web3領域を投資ターゲットに置いたコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)を設立する。世界的に注目を集めるWeb3において、国内のスタートアップは多くの課題に直面しており、GMOは同領域のベンチャー企業の成長を後押しする方針だ。
GMOは6月末までにハンズオン型のCVC「GMO Web3」を設立する。計画では、スタートアップに出資・融資するだけに留まらず、ブロックチェーンや暗号資産(仮想通貨)取引所、法定通貨などに連動するステーブルコイン、NFT事業などを開発してきたエンジニアが技術支援を行っていく。
また、スタートアップが暗号資産取引所にトークン(暗号資産)を上場して資金を調達するIEO(Initial Exchange Offering)の支援も行う予定だ。
Web3は、ブロックチェーンを利用して新しいビジネスモデルと社会モデルを実現するというもので、ユーザー自身が、個人データやコンテンツ、アルゴリズムを所有し、プロトコルのトークンや暗号資産を所有することでステークホルダーとなる。
所有権がユーザーに移ることで、プラットフォーマーと呼ばれる巨大企業や政府機関など中央集権型のWeb2における「ゲートキーパー」から権力や資金が離れていくといわれている。
過去20年、「GAFAM(Google、Apple、Facebook、Amazon、Microsoft)」を筆頭に、北米のビッグテックが、現在のWeb2の世界で事業規模を巨大化させてきた。ブロックチェーン技術の利用が広がりつつあるなか、Web3はいま世界的に注目されており、北米と欧州を中心に多くのスタートアップが設立されている。
日本では、Web3領域におけるスタートアップが事業拡大を加速させる上で、いくつかの大きな課題が存在する。GMOも9日付の発表文でその課題に触れている。
例えば、事業プロジェクトを進める企業がトークンを発行する際、会計基準が依然として未整備のままで、仮に発行企業が上場しようとしても監査を受けることができない。また、発行企業がトークンを保有する場合、そのトークンの含み益に税金(法人税)が課せられる。
トークンを発行する企業は現状、既存の金融機関から資金を調達することも難しい。結果的に、北米や欧州などに比べて、日本ではWeb3領域のエンジニアの育成が進んでおらず、国内の起業家が海外に移り住んで事業を進めるケースが増えている。
|テキスト:佐藤茂
|トップ画像:GMOインターネットグループ代表の熊谷正寿氏/撮影:多田圭佑