「Web5」を発表──ジャック・ドーシー氏のTBD、Web3を打破する新プロジェクト【Consensus 2022】

ジャック・ドーシー氏はWeb3に対する不満を公言している。ドーシー氏の見解では、Web3はWeb2と同じくらい疑わしいものになった。

ドーシー氏率いるブロック(Block、旧スクエア)の子会社でビットコインに注力しているTBDは10日、Web3の代替案として、分散型インターネットレイヤーの新しいビジョンを発表した。「Web5」だ。

「アイデンティティと個人データは、第三者の所有物になっている。Web5は、分散化されたアイデンティティとデータストレージを一人ひとりのアプリケーションに提供する。開発者が楽しいユーザー体験(UX)の創造に集中できるようにする一方で、データとアイデンティティの所有権を個人に戻す」(TBDの説明資料より)

「これはインターネットに対する我々の最も重要な貢献になるだろう。チームを誇りに思う。#web5 (web3 VC、安らかに眠れ)」とドーシー氏はツイートした。

Web5は「分散型インターネット」の実現に取り組む既存の取り組み、つまりWeb3は、間違った方法で進展しているとのアイデアに基づいている。

TBDの責任者マイク・ブロック(Mike Brock)氏は、数字の「5」がプリントされた黒とビットコイン・イエローのトレーニングウェアでCousensus 2022に登壇。Web5は「Web3より2つ優れている」としながら、既存モデルを打破し、検閲フリー、アイデンティティ重視のウェブ体験を実現すると述べた。

「これは、目的のためにどのようなテクノロジーを構築するかという議論。すべてのケースでブロックチェーンを使うというのは、分散化アプリケーションにとって真に良いアイデアだとは思わない」とブロック氏は述べた。

「我々がWeb5で進めていることは、インターネットを分散させるという意味についての数多くの仮定に対する挑発的な挑戦だが、実際には基本に戻ることだと考えている。我々は分散化の効果的なテクノロジーをすでに手にしている。つまり、BitTorrentが存在し、Torや他のテクノロジーが存在する」

Web2 + Web3 = Web5

Web5の通貨レイヤーは、ビットコイン・ブロックチェーンを基盤に構築される。ドーシー氏がビットコインの熱烈な支持者であることを考えれば当然だ。Web5を支える他のテクノロジーは、さまざまな分野の暗号技術やコンピュータサイエンスを応用している。

Web5は、Web3と同様に仲介者が存在しない、ユーザー同士のやりとりを可能にする。理論的には、政府の検閲や中央集権的なサービスが停止するなどの脅威はなくなる。

ウェブ上に分散型レイヤーを構築する他の試みと同様に、Web5はまた、ユーザーに「分散型アイデンティティ」を提供し、ログイン不要でアプリケーションからアプリケーションへ、シームレスに移動できるようにすることも目指している。ユーザーのデータは、第三者の製品やサービスに保存されるのではなく、ユーザーがコントロールし、ユーザーの許可がなければ公開されない。

Web5は10日午後、テキサス州オースティンで開催中のConsensus 2022で発表されたものの、まだ開発中で正式なリリース日は決まっていない。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:CoinDesk
|原文:Jack Dorsey’s TBD Announces Web 3 Competitor: Web 5