米CoinDeskのイベント「コンセンサス 2022(Consensus 2022)」の初日が終了し、現場で感じたことを尋ねられた。しかし、「わぁ。うわ。すごい」と言う以外に、意味のある言葉が浮かんでこない。
驚嘆
ちなみに、CoinDeskが初めてコンセンサスを開催したのは、わずか7年前の2015年。その時の参加者数は、驚きの500人だった。
今年のコンセンサスは、2020年に新型コロナウイルスのパンデミックが始まって以来、初めて対面での開催となった。今年の参加者数の最新データは、1万7000人である。
だから、「わぁ。うわ。すごい」なのだ。
私は2016年以降、ほとんどのコンセンサスに参加しているが、とりわけ基準点として際立っているのは、ニューヨークのマリオット・マーキスで開かれた2018年のもの。新規コイン公開(ICO)ブーム後で、ムードは徐々に悪化し始めていたが、それでも9000人近くの参加者を集めた。
この参加者数は、マリオットのスペースには多過ぎたようだ。登録のための行列は、参加者たちにトラウマを残し、いまだにフラッシュバックとして蘇ってくるらしい。
その辛い思い出が、私たちがテキサス州オースティンへと会場を移した理由の1つだ。参加者はおよそ2倍になっているにも関わらず、これまでのところ渋滞は目撃していないと、喜んで報告したい。
さらに興味深い2018年との比較は、雰囲気だ。2018年のコンセンサスは、厳しい市場暴落の後に開催。ビットコイン(BTC)は会期中、(前年12月の2万ドルの高値と比べて66%安の)約6600ドルで取引されており、雰囲気はかなり険しいものだった。
市場とは裏腹の明るいムード
今年のイベントも、市場暴落の後に開催された。ビットコインは昨年11月に記録した最高値6万7000ドルと比べて57%安。しかし、2018年とは異なり、コンセンサス 2022では、うつむいた人やしかめっ面を見つけるのは難しかった。
会場は、自律分散型組織(DAO)、イーサリアムのスケーリングソリューション、比較的難解で未来を見据えたアイディアや、現在の市場とはあまり関係ないが、長期的には大きな利益を出せるような投機的アイディアなどについての知識を切望する、好奇心旺盛な参加者たちで埋め尽くされていた。
暗号資産市場は、市場心理と密接に関係しているのは確かだ。しかし、最も熱心な支持者の場合、心理が市場と完全につながっていないことがますます明らかになっている。しかも、そのような人の数は増えているのだ。
今回のコンセンサスで特徴的だったもう1つの点は、広範に広がった、本物の多様性だ。暗号資産の開かれた性質によって、より幅広い人たちがアクセス可能だと長年言われてきたが、それが実際に現実になり始めている。他民族の環境で育ち、今も暮らす人間として、多くの黒人参加者がステージ上にも、会場にもいたことは、とりわけ嬉しかった。
残念ながら、コンセンサスの成長は、参加者が不作法に振る舞うチャンスも増えることを意味する。自分の尊厳や評判を維持したければ、討論会を見ながら長々とおしゃべりしたり、ジャーナリストに接触するために許可されていないエリアに立ち入ったり、討論会を邪魔するためにスピーカーを持ち込むことは、避けた方が良いかもしれない。(これらはすべて、ここ2日間で私が実際に目撃したものだ)
コンセンサスでは、得られるものがたくさんあるが、業界の人たちに愚か者と思われてしまっては、失うものの方が多くなる。楽しい時間を過ごし、自分たちでルールを決めているからといって、お互いを尊重しなくて良い訳ではないのだ。
今年来られなかった人も、来年は参加できることを願っている。
|翻訳・編集:山口晶子、佐藤茂
|画像:CoinDesk
|原文:No One Is Saying ‘Crypto Winter’ at Consensus