6月2週のビットコイン週足は15%程度下落しており大きな陰線を記録している。3週前に久々の陽線を記録していたが、下落トレンドが再び進み、現在は2週連続の陰線が濃厚だ。
3月最終週からの12週で10週が陰線となる可能性があり、かなり売り込まれていることがわかる。現状、週足は2ヶ月平均となる8EMAを下回り推移している。昨年の最高値から引いた高値のトレンドラインも切り下げ続けており、まだ底打ち感は見られない。
さらに、今週は足元のサポートを割り込み、2021年以降の最安値を更新。価格は昨年の最高値770万円から約60%の下落を記録している。足元のサポートを割り込んだため、最悪のシナリオとして200万円近辺のサポートまで下落することも想定する必要性が出てきた。
ビットコインは売られ過ぎ水準
短期のモメンタム・インジケーターのFisher Transformは、4月2週から遅行線を下回っている。Fisher Transformは2021年7月、2020年1月にゴールデンクロスが発生した後、ビットコインの値動きは下落トレンドから反転している。現在はまだ下落トレンドの反転を示唆しておらず、今後の推移に注目だ。
一方、長期オシレーターのMACDもFisher Transform同様に下落が継続している。週足のMACDが遅行線を下回っている間は、弱気トレンドが継続していることを示唆しており、多少の価格反発は売り場になる可能性が高い。
現在は遅行線との差が広がっている状態で売り圧力がまだ強いことを示している。
モメンタム・インジケーターは弱気トレンドの発生をしているが、今週のRSIは30まで下落している。RSIは30を下回ると売られ過ぎを示唆するインジケーターだ。
bitbankのチャートで週足RSIが30を下回ったのは2018年12月と2015年1月の2回のみだ。いずれも大きな下落トレンドの転換ポイントになっている。ビットコイン相場がヒストリカルでも売られすぎ水準であることを示しており、底打ちが近いことを示唆している。
加速する売り
ビットコインの日足は6月14日時点で8日連続の陰線を記録し、価格は300万円台を割り込んでいる。
価格は今週に入り移動平均線から大きく乖離して推移し始めた。先週金曜日に短期移動平均線(14EMA)を下回ってから売りが加速した。5月以降は長期移動平均線(53EMA)が下向きで推移、一目均衡表の雲も弱気を示唆し続けている。
3月、4月は価格が反発する場面があったが、5月以降は長期のテクニカル・インジケーターを価格が下回り続けている。ここ1カ月半ほど継続的に価格が下落していることを示している。
下落トレンドの再開
日足MACDは週足MACDと同様に短期で下落している。先週まで価格が底堅く推移していたこともあり、日足MACDは一時上昇していたが今週から再び下落している。モメンタムの悪化を示している。
ボラティリティを示すインジケーターのADXも先週まで下落傾向で推移し、下落トレンドの停滞を示していた。しかし、価格が再度下落したため足元で再び上昇し始めた。下落トレンドが再開したことを示している。
日足RSIはすでに30を下回り、現在の相場が売られ過ぎ水準に入ったことを示している。値動きや他のインジケーターを見る限りでは、現在の相場では強い下落トレンドが発生しているが、RSIは下落トレンドの底打ちが遠くないことを示唆している。
底打ちはいつになるのか
週足は、2021年からの重要なサポートラインを割り込み、非常にチャートが悪い状態だ。足もとで下落が加速し、連続陰線を記録していることからも、現在は買いポジションを持ち辛い状況だ。
日足は週足同様に弱気なチャートを形成している。日足ADXも再度上昇し弱気トレンドの再開を示唆している。
一方、週足、日足共にRSIがヒストリカルで見てもかなりの売られ水準まで低下しており、底打ちが近いことも示唆されている。今後、価格が底堅く推移するようなら、長期ポジションの買いは有効かもしれない。
真田雅幸:ビットバンク(bitbank)マーケット・アナリスト──カリフォルニア州立大学で経済学を専攻し社会のお金の流れについて興味を持つ。大学在学中にビットコインに興味を持ち、bitbankで業界に関する調査業務を行いながら同社のメディアで寄稿を行う。2015年冬頃からビットコインへの投資、トレードを徐々に始める。最近は基本的なテクニカルに加え、デリバティブ情報やオンチェーン情報も分析しながらトレードを行う。
|編集・構成:佐藤茂
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