【ニューヨーク】──今回で4回目となる世界最大のNFTイベント「NFT.NYC 2022」は6月20日、VIPチケットを購入した参加者と、1,500名を超える登壇者が招待されたVIPディナーパーティで幕を開けた。同日夕、ニューヨーク市内各所でも複数のプライベートパーティが開かれた。
VIPパーティはタイムズスクエアにあるホテル「ニューヨーク・マリオット・マーキス」で行われた。今回のイベントの本会場となるホテルだ。
同イベントの運営会社によると、オンライン参加登録者数は15,000人を超えた。20日11時、参加バッジの受け取りが始まると、マリオット・マーキスの建物の周りには一時、長蛇の列ができた。
列に並ぶニューヨーク在住で広告会社を経営する男性は、NFTを利用した事業の開発を進めている。今回のNFT.NYCは2度目の参加になると話していた。
暗号資産(仮想通貨)とNFTの価格が過去数カ月で大きく下落しているが、「NFTの利用ケースはこれからも世界的に増え続けるだろうし、NFT全体の価格も遅かれ早かれ上昇してくるだろう」とコメントした。
doublejump、OasysはWeb3ゲームパーティ
タイムズスクエアから南に歩いて15分、マンハッタンの夜景が見えるビルの35階では、日本のdoublejump.tokyoとOasysなどが「Web3 Gaming Hub」と名づけた招待制パーティを開催。
double jump.tokyoは、ブロックチェーンゲームの開発支援プログラムを進める企業で、スクウェア・エニックスやバンダイナムコグループ、セガなどと協業実績がある。一方のOasysはゲーム用ブロックチェーンを開発している。
doublejump.tokyoは今年、約30億円の資金を調達。世界最大規模のステーブルコイン「USDC」を発行する米サークル(Circle)社のベンチャーキャピタルと、Polygon Venturesが調達ラウンドに参画した。
パーティに参加していた大枝朱里氏(29歳)はゲーム開発企業からOasysに転職したばかり。
Web3に賭ける20代
「ゲーム内のアイテムをNFTにすることで、そのアイテムは1つの資産としての価値を持つことができる。これからは、ユーザーが主体となるゲームコミュニティが形成されるようになっていく」と、大枝氏は話し、ブロックチェーン業界に転職した理由を述べた。
「ブロックチェーンが社会を大きく変える可能性を実感できる、刺激的な毎日を過ごしている。Web3において日本のゲームIPは、世界でさらに大きくなっていくだろうと思う」と大枝氏。
サイモン・ヨンサン氏は現在、慶応大学を休学して、ベンチャーキャピタルのEmoote(エムート)でインターンとして働いている20歳。Emooteは、日本のゲーム会社のアカツキが組成したWeb3特化型投資ファンド。
「より質の高いGameFi(Play-to-Earn型ゲームで、NFTを活用することでプレイしてトークンを稼ぐことができる)は、今年から来年にかけて多く生まれてくるだろうと期待している」とヨンサン氏。
「ブロックチェーン技術の進歩は続いている。それを基盤とするGameFiの開発は今後、さらに加速してきくだろうと思う」とヨンサン氏は、ノンアルコールドリンクを飲みながら質問に答えてくれた。
派手さが目立つSandboxのパーティ
メタバースゲーム「The Sandbox(ザ・サンドボックス)」を開発するSandbox主催のパーティは、その派手さが目立った。開催された場所はマンハッタンの結婚式場としても知られるGotham Hallで、パーティ会場に入ろうとする客の列は建物の周りを囲んだ。
The Sandboxはイーサリアムブロックチェーン上に構築され、ユーザーはアバターを操作しながらゲームに参加したり、アイテムを購入をすることが可能だ。NFTの購入には、暗号資産の「SAND」が使用され、日本では暗号資産取引所のコインチェックが5月に取り扱いを始めている。
明日21日(現地時間)、NFT.NYCの本会場と、約6,000人を収容できるラジオシティ・ミュージックホールでは、登壇者たちがそれぞれが手がけてきたNFTプロジェクトを披露する。パネルディスカッションのセッションでは、アート、ゲーム、コレクティブルズ(収集品)、音楽、ファッション、スポーツ、映画などの幅広いテーマでNFTの可能性が議論される予定だ。
|取材・撮影・編集:佐藤茂