イーサリアム(ETH)ブロックチェーンがプルーフ・オブ・ステーク(PoS)に移行すれば、マイニング機器の必要性はなくなり、GPU(グラフィックス・プロセッシング・ユニット)の需要は低下すると米投資銀行のモルガン・スタンレー(Morgan Stanley)は27日、レポートで述べた。
イーサリアム開発者は、PoS移行、いわゆる「The Merge」が9月までに、早ければ8月までに実現することを望んでいるが、過去の遅延を考えると2023年初頭になっても驚きではないという。
同行によると、暗号資産マイニングは過去18カ月、GPU市場に大きな影響を与えた。2021年の収益の約14%を占め、同時に「大規模なGPU不足の要因となり、価格を押し上げた」としている。
GPU需要は低下するが、GPU大手のエヌビディア(Nvidia)は2017年〜19年にかけて、暗号資産マイニング需要への投資を減らしているとレポートは指摘。さらに、GPU不足の要因となった暗号資産マイニング需要は今年前半に縮小し始めたという。
エヌビディアと、同じくGPUを手がけるAMDは、両社とも暗号資産マイニング需要減少の影響を最小化したとしているが、モルガン・スタンレーは、在宅勤務の減少による需要の減少、暗号資産のPoS移行などの要因により、2023年第1四半期(1−3月期)にGPU需要は低下すると予想している。
イーサリアムのマイナー(マイニング事業者)は、他の暗号資産をマイニングしても利益が出ないため、The Merge後にGPUを売却する可能性が高いという。
またPoS移行後も、1秒あたりのトランザクション数など、イーサリアムブロックチェーンのスケーリング問題は解決せず、取引手数料(ガス代)の低下にもつながらないとモルガン・スタンレーは述べた。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
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|原文:Morgan Stanley: GPU Demand Likely to Slow if Ethereum Moves to Proof-of-Stake