カナダの投資会社サイファーパンク・ホールディングス(Cypherpunk Holdings)は現状の市場リスクを乗り切るため、保有していたビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)をすべて売却した。
同社の28日の発表によると、214.7203ビットコインを約470万ドル(約6億4000万円)相当、205.8209イーサリアムを約22万7000ドル(約3090万円)相当で売却し、合計490万ドル(約6億7000万円)強を手にした。
同社社長兼CEOのジェフ・ガオ(Jeff Gao)氏は、保有するビットコインとイーサリアムをすべて売却するという決定は、市場のボラティリティが大きくなり、投資家にとって暗号資産保有のリスクが増したためと述べた。
ビットコインとイーサリアムはこの1年で半分以上下落し、今月はじめには1年ぶりの安値となった。
「我々は、ボラティリティ、および非流動性の広がりが論理的な結論に達するまで傍観者となることが最も賢明なアプローチと信じている」とガオCEOは声明で述べ、「確率から言えば、『一時的な』引き出し停止を行うチェーンの数が多くなるにつれて、価格の動きは弱まり、次の低水準への道が開くと考えている」と付け加えた。
ガオCEOは、同社は暗号資産に対して「長期的な強気見通し」を維持しており、投資機会がいずれ表れ次第、活用しようと考えていると述べた。
暗号資産の冬
暗号資産市場は、投資家が数十年ぶりの高インフレに反応し、リスク資産を売却したことで、いわゆる「暗号資産の冬」に突入した。
例えば、ライオット・ブロックチェーン(Riot Blockchain)やビットファームズ(Bitfarms)のようなビットコインマイニング事業者は、ビットコインの価値が45%下落した5月にマイニングした量を上回るビットコインを売却したことが、アーケーン・リサーチ(Arcane Research)の分析で明らかになった。
厳しい状況が暗号資産レンディング大手に支払能力の問題をもたらし、業界全体の大規模レイオフに拍車をかけているため、投資家は暗号資産を売却し、安全で、ボラティリティの小さい、価値保存の手段と認識されているものに資金を移しているようだ。
サイファーパンク・ホールディングスの最高投資責任者モー・アダム(Moe Adham)氏は、市場が好転するまで、暗号資産投資家のリスクは依然として「きわめて大きい」と述べた。
「暗号資産市場は依然として深いリスクオフ環境にある。暗号資産全体で、価格がさらに大きく下落するリスクが残っている」とアダム氏は述べた。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:サイファーパンク・ホールディングスのWebサイト(キャプチャ)
|原文:Investment Firm Cypherpunk Holdings Sells All of Its Bitcoin and Ether