ビットコイン先物取引プラットフォームのBakktは2019年7月22日(現地時間)、新しい契約のテストを開始した。
その野心的なビジョンを発表してからほぼ1年。ニューヨーク証券取引所の親会社であるインターコンチネンタル・エクスチェンジ(ICE)は、Bakktに対する認可を待ち続けている。新市場のスタートを何度も延期してきたが、ICEはアメリカで初となるであろう現物引き渡し決済のビットコイン先物取引を提供する計画を進めている。
Bakktは5月に、ビットコイン先物契約のテストを7月に開始すると発表し、その後テストの開始予定日を7月22日に確定していた。
7月22日には2つの異なるタイプの契約をテスト。デイリーとマンスリー契約である。Bakktは先物商品を上場することを目指しており、先物取引所のICEフューチャーズU.S.(ICE Futures U.S.)を通じて取引され、親会社ICEのクリアリングハウスであるICEクリアU.S.( ICE Clear U.S.)が精算を行うことになる。
テストのプロセスが具体的にどんなものになるのかははっきりとしていない。Bakktからのコメントも得られていない。
Bakktの計画は、アメリカの投資家に現物引き渡し決済ビットコイン先物契約へのアクセスを提供するもので、金融と商品(コモディティ)のデリバティブ取引所であるシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)やシカゴ・オプション取引所(Cboe)が2017年末から提供している現金決済先物契約とは異なる。現金決済契約では、期日を迎えた時点での契約の価値相当の現金を投資家が受け取ることになる。一方の現物引き渡し決済契約では、実際の原資産(この場合はビットコイン)を受け取ることになる。
Bakktには、規制に準拠した商品を開発することで、ビットコインのエコシステムに新たな機関投資家からの資金を引き寄せる狙いがある。
ローンチの遅れ
Bakktは当初、2018年12月のローンチ予定日を発表していたが、その後2019年1月へと延期した。その後、ローンチに必要な認可を得るために規制当局と連携を続ける中、無期延期を発表した。
米商品先物取引委員会(CFTC)に新商品である先物契約の認可を求めたとされていたが、5月には、先物契約を自社認証するための申請を行ったと発表。
自社認証のプロセスでは原則的に、企業がCFTCに対して、先物契約がすべての法的用件を満たすことを証明する。CFTCはその認証を検証することはできるが、法律上または規制上の違反がない限り、商品を先に進めることを止めることはできない。
先物契約の自社認証は完了したが、ニューヨーク州金融サービス局(New York Department of Financial Services)を通じて信託会社設立許可書を手に入れるまでは、Bakktは商品のローンチができない。Bakktがニューヨーク州独自の仮想通貨事業者に対するラインセンス、ビットライセンス(BitLiense)も申請したかは明らかとなっていない。
アメリカ初の現物引き渡し決済ビットコイン先物契約をローンチしようとしているのは、Bakktだけではない。仮想通貨のデリバティブ商品を開発すレッジャーX(LedgerX)と仮想通貨取引所エリスX(ErisX)はともに、自社の現物引き渡し決済ビットコイン先物取引商品の提供のための認可をCFTCから受けている。両社ともローンチに向けたはっきりとしたスケジュールはまだ発表していない。
また、デジタル資産取引プラットフォームのシードCX(Seed CX)も先渡し契約のローンチを進めようとしているが、現時点では規制当局からの認可待ちの状況だ。
翻訳:山口晶子
編集:佐藤茂
写真:Bakkt・CEOのKelly Loeffler氏(CoinDesk提供)
原文:Bakkt Is Scheduled to Start Testing Its Bitcoin Futures Contracts Today