SEC、グレイスケールの申請却下──ビットコインETFへの転換を認めず

米証券取引委員会(SEC)は29日、グレイスケール・インベストメンツ(Grayscale Investments)が申請していた「グレイスケール・ビットコイン・トラスト(Grayscale Bitcoin Trust:GBTC)」の現物(スポット)ベースのビットコインETF(上場投資信託)への変更申請を却下した。

理由としてSECは、市場操作の防止などについての要件を満たしていないとしている。同日、ビットワイズ(Bitwise)のビットコインETFの申請も却下されている。

グレイスケールは昨年10月に変更申請を提出したが、SECが一般からの情報と意見を求めたため、決定は複数回延期され、最終期限は7月6日となっていた。

ビットコインETFの支持者は、個人や機関投資家にビットコインに投資するための低コストで簡単な方法を提供できるとアピールしている。昨年秋、複数のビットコイン先物ETFが承認され、さらに今年初めには、ビットコインETFの申請と同じ「1934年証券取引法」に基づく先物ETFが2件承認されたことから、ビットコインETF承認に対して、楽観的な見方が広がっていた。

グレイスケールは、先物に基づくETFを承認し、原資産に基づくETFを承認しないことは矛盾していると強く主張していた。

今回のSECの決定は、グレイスケールのみならず、暗号資産業界全体にとっても打撃となる。業界は、ビットコインETFは十分な投資家保護を備えていると長期間キャンペーンを展開してきた。

しかし、承認を予想していたアナリストはほとんどおらず、SECのゲンスラー委員長は、ビットコインETFを承認する以前に暗号資産取引所の監視強化を一貫して望んでいると指摘していた。

今後、グレイスケールがどのような手を打つかが注目される。CEOのマイケル・ソンネンシャイン(Michael Sonnenshein)氏は27日に「SECの決定後に想定されるあらゆるシナリオに備える」と述べていた。
GBTCはSECの決定前、純資産価値に対して約29%のディスカウントで取引されており、1週間前の34%からディスカウントは小さくなっていた。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:グレイスケールのマイケル・ソネンシャインCEO(CoinDesk archives)
|原文:SEC Rejects Grayscale’s Spot Bitcoin ETF Application