大日本印刷とSUSHI TOP、NFTで提携──トークングラフ活用でXR事業開発を加速

リアルとバーチャルを融合させたXR(Extended Reality)事業の開発を進める大日本印刷(DNP)は7月12日、トークングラフマーケティングを強みとするSUSHI TOP MARKETINGと業務提携を締結すると発表した。

トークングラフとは、ブロックチェーン上の公開情報からユーザーが所有するトークンを参照することで保有者の趣味・嗜好を推測することで、親和性の高いNFTの配布や企業の製品・サービスの訴求を行うことでマーケティングを強化できるというもの。

DNPとSUSHI TOPは今回の提携を通じて、コンテンツを所有する企業とファンをつなぐ新たなサービスの創出に向けた共同研究を進める。アニメ・マンガ・ゲームなどのIP(知的財産)を対象とした新たなビジネスを創り上げる。

第一弾として、ファンによる応援活動をブロックチェーンに記録する「推し活NFT」のサービス開発をテーマに取り組みを始める。DNPが「推し活NFT」と呼ぶNFTは、他者に譲渡することができないSoulboundトークン(SBT)というもの。

Soulboundトークンとは、イーサリアムブロックチェーンの共同創設者であるヴィタリック・ブテリン氏が発表した譲渡不可能なNFT。取得者は他の者に譲渡できないことを前提としており、学歴や資格などの個人情報をNFTとして発行し、デジタル社会における信用証明の手段として注目されている。

(画像:DNPの発表文より)

XR事業を開発する上で、DNPはブロックチェーン技術を活用する複数の企業と連携するパートナー戦略を強化してきた。今年初めには、ブロックチェーンを使ってエンターテインメントのデジタル化を支援するGaudiyとの提携を発表。NFTを活用したコンテンツの流通を拡げながら、ファンが集まるバーチャルコミュニティを作り、好きなアイドルやキャラクターのグッズやアイテムを集めたり、コンテンツを応援するファン同士が交流できる場の開発を進めている。

SUSHI TOPは、 NFTの配布と企画に特化したトークングラフマーケティングを強みとしており、音でNFTを配布する「Audio Shot」や、 一度配布したNFTと親和性の高いNFTを新たに配布する「リターゲティング」のシステムを開発してきた。

DNPとSUSHI TOPは、 誰でも参加できるパブリックブロックチェーンを利用しながら、 コンテンツ関連のイベント参加や商品の購入に合わせて、 その活動を証明するNFTをファンに簡易的に提供する仕組みとサービスを開発する。取得したNFTの数に応じて、 リアルとバーチャル双方でファンが「特別感」を得られる仕組みを研究していく。

DNPは、「インターネット環境は、 Webサイトと電子メールを閲覧するWeb1.0から、 スマートフォンやSNSの普及によって発信・交流するWeb2.0に変わってきた。 その中で、 世界的な大手企業による個人データの集中管理や、 Cookieの利用方法の問題などがあり、 ブロックチェーンの技術を利用した次世代の分散型インターネットであるWeb3.0が期待されている。DNPとSUSHI TOP MARKETINGは、 Web3.0時代に向けて、 コンテンツとファンをつなぐ新しい価値を創出していく」と発表文で述べた。

|編集:佐藤茂
|トップ画像:DNP提供