メイヤー倍数(Mayer Multiple)──資産の市場価格と200日移動平均(MA)の比率──は、暗号資産(仮想通貨)の弱気相場が一巡したことを示している。
当記事執筆時点のメイヤー倍率は0.53、つまり、暗号資産市場の時価総額8630億ドルは、200日MAの1兆6030億ドルのほぼ半分となっている。
メイヤー倍数は先月0.5を割り、暗号資産の時価総額は7628億ドルの低水準となっていた。過去の弱気相場は、メイヤー倍数が0.5を下回るとともに終了している。過去を踏まえるなら、暗号資産市場は6月の安値7628億ドルで底を打ったのかもしれない。
ビットコイン投資家のトレース・メイヤー(Trace Mayer)氏が考案したメイヤー倍数は、市場価格と200日MAを比較することで、売られすぎ/買われすぎの状態を知る手がかりとなる。
これまで、0.5以下は底値となってきた。一方、2.4以上は、個人投資家の熱狂に特徴づけられる強気相場の最終段階を示す。
200日MAは、長期トレンドの指標として最も広く使われている。テクニカル分析では、ある資産の価格が200日MAを下回ると弱気相場とされる。逆も同様だ。
弱気相場の終わりを示す指標はほかにもある。最近では、ピュエル倍数(Puell Multiple)やMVRV Zスコア、長期移動平均のクロスオーバーといったチェーン指標も弱気相場の終わりを示している。
しかし、過去は将来を保証するものではない。特に2020年3月の暴落以降、ビットコイン(BTC)はリスクオン資産となっている。つまり、暗号資産市場は、これまでの弱気相場のときよりも、FRB(米連邦準備理事会)の金融政策やインフレなどの要因に敏感になっている。
米CPI(消費者物価指数)は13日、9.1%という40年ぶりの高さとなり、今月末には1.0%の金利引き上げが行われるとの予想が強まった。暗号資産市場の時価総額は昨年11月の史上最高値から70%減少しており、FRBによる引き締めが加速するとの懸念が広がっている。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:TradingView
|原文:The $863B Crypto Market May Be Close to Bottom, Technical Indicator Suggests