イーサリアム(ETH)は、9月に実行が期待されている「Merge(マージ)」を前に投資家センチメントが強気に転じ、過去1週間で約48%上昇した。いわゆる「マージ・トレード」だ。
マージとは、イーサリアムを現行のプルーフ・オブ・ワーク(PoW)から、プルーフ・オブ・ステーク(PoS)に移行させること。すでにPoSのビーコン(Beacon)チェーンが稼働しており、現行のイーサリアムの実行レイヤーをビーコンチェーンの「コンセンサス・レイヤー」に展開する。
マージによって、イーサリアムの年間発行量は90%減少、価格上昇につながると期待されている。市場関係者のなかには、マージはビットコインの過去3回の半減期に相当すると考える人もいる。ビットコインはおおむね4年毎に発行量が半減するようプログラミングされている。
だが、マージに対する市場関係者の思いや考え方は依然としてさまざまだ。
「投機家は純粋に価格上昇のきっかけとして『マージ』に注目しており、イーサリアムに関するストーリーはこの1週間で急速に変わった。加えて、かなりの量の資金が様子見をしており、新たなポジションを築くために強気モーメントを待っていると考えている」」とStack Fundsの共同創業者兼CEOのマシュー・ディブ氏は述べた。
Chains.comのアンダーセン・マッカッチョン(Anderson Mccutcheon)CEOは、市場全体で今、「センチメントの変化」が見られ、投資家は強いアセットに現金を投入しようとしていると指摘した。
「こうした状況は、プロジェクトが提供するポジティブなニュースやメジャーアップデートをなんであれ増幅する。マージは明らかにグッドニュースであり、イーサリアムの歴史におけるきわめて重要な瞬間。だが、マーケットへの影響は売り圧力がないために増幅されている」(マッカッチョン氏)
上昇は続かない?
だが一部のアナリストはイーサリアムの上昇モーメントは長くは続かないと注意を促した。
「イーサリアムの値動きは、今後数週間で市場全体が好転するとの期待を確かに与えている。だが突然の価格上昇は主に過剰な期待とおそらくマージへの理解不足が要因となった」とUpholdの暗号資産リサーチ責任者、マーチン・ヒアブック(Martin Hiesboeck)博士はコメントした。
Hargreaves Lansdownのアナリスト、スザンナ・ストリーター(Susannah Streeter)氏は、マージとともにビットコイン(BTC)マイニングの環境への悪影響に注目が集まっていると語った。
「暗号資産マイニングはエネルギー集約型であり、気候変動を引き起こすとして大きな批判を集めている。山火事がヨーロッパやアメリカで発生しており、(マージによって)イーサリアムのトランザクションが環境に与える影響は小さくなるとの主張は大きな関心を呼んでいる」(ストリーター氏)
だがストリーター氏は次のように警告した。
「マイニング、ステーキング、トレーディングに関する将来のルールはまだ不透明で、暗号資産の価値は金融市場の不安定な状況に非常に敏感。暗号資産の「開拓時代」に投資することは、まだ非常にリスクの高いビジネスであることは明らかだ」
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:CoinDesk
|原文:First Mover Asia: Bitcoin Stalls as Contagion Hits Zipmex, Vauld. Will Ethereum’s Merge Fix This?