米コインベースとロビンフッドの株主、従業員報酬制度による希薄化リスクに直面:JPモルガン

米暗号資産取引サービス大手コインベース(Coinbase)と投資アプリを手がけるロビンフッド・マーケッツ(Robinhood Markets)の株主は、従業員の報酬制度に含まれる「制限付き株式付与」(RSU)が要因となる株式の大幅な希薄化リスクに直面していると、JPモルガン・チェーンが25日、顧客向け文書で述べた。

両社の株価が、暗号資産と株式市場の下落から大きな打撃を受けていることを考えると、株主にとって希薄化はタイミングが悪いだろう。年初からコインベースの株価は73%、ロビンフッドの株価は51%下落している。

「コインベースとロビンフッドは、他のIT企業と同様に、従業員向けにかなり株式を発行している。現金支給を抑えながら、従業員を引きつけ、インセンティブを与えるためだ」とJPモルガンの株式リサーチアナリスト、ケネス・ワージントン(Kenneth Worthington)氏は文書に記した。

株価の大幅下落を受けて、コインベースとロビンフッドはRSUによる従業員への株式付与を減らすだろうが、それでも「RSUによる株式発行は今後数年間、年7%ペースでかなりの希薄化を促進する」とJPモルガンは予想している。仮に7%ペースが5年続けば、両社の既存株主が保有する価値は30%減少するという。

暗号資産市場と株式市場はまだ下落圧力を受けており、多くの企業はコスト削減に取り組んでいる。6月、コインベースは1100人のレイオフを発表、ロビンフッドは4月に約9%の従業員の削減を発表している。

JPモルガンはコインベースの格付けを「ニュートラル」とし、ロビンフッドを「アンダーウエイト」としている。

こうした希薄化懸念にもかかわらず、最近、複数の機関投資家がコインベース株を買い増している。買い時と捉えているようだ。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Shutterstock
|原文:Coinbase, Robinhood Shareholders Face Significant Stock Dilution: JPMorgan