【US市場】ビットコイン上昇──米経済は景気後退ではなく、緩やかに減速か

ビットコイン(BTC)は28日、4−6月の米GDP(国内総生産)がマイナスとなったにもかかわわらず、4%上昇した。

GDPは0.5%増の予想に反して0.9%減となった。減少は2四半期連続で、これは歴史的にリセッション(景気後退)のサインとされる。公式には全米経済研究所(National Bureau of Economic Research)が、さまざまな要因を勘案してアメリカがいつリセッションに入ったかを事後的に決定する。

GDPの発表を受けて、米国債の利回りは低下し、10年債の利回りが2年債の利回りを上回った。債券の利回りは物価と逆相関関係にあり、一方が上昇すれば他方は下落する。国債の利回り低下は、国債が買われていることを意味する。投資家は経済全体の強さを疑ったとき、株式や暗号資産ではなく、より安全な国債を購入することが多い。

株式市場では、S&P500とダウ平均はそれぞれ1.2%、1.1%上昇した。
アルトコインでは、イーサリアム(ETH)前日の16%上昇に続いて、さらに9%上昇した。コストス(ATOM)は8%、ポルカドット(DOT)は9%上昇した。

最新価格

●ビットコイン:23,900ドル、+4.4%
●イーサリアム:1,742ドル、+7.8%

●S&P500:4,072.43、+1.2%
●ゴールド:1,774ドル、+3.2%
●米国10年債利回り:2.68%、-0.05

米経済の潜在的問題、価格上昇につながるのか?

ビットコインは28日、2万3000ドルを超えて上昇した。米GDPは2四半期連続のマイナスとなったが、それでも多くの資産クラスが好反応を示した。アメリカ経済は、リセッション(景気後退)に陥るのではなく、より緩やかで、望ましい速度で減速していると投資家は考えているようだ。

債券市場はより懐疑的で、2年債の利回りが10年債の利回りを上回り、逆イールドカーブとなった。逆イールドカーブとは、短期債よりも長期債の利回りが低くなることをいう。

歴史的に見ると、アメリカではこうした状況はリセッションの前兆だった。下図は、10年債と2年債の利回りの差を示している。2021年3月以降、スプレッドは大きく低下している。網掛け部分はリセッションを示しており、歴史的にスプレッドの傾向が反転した12~18カ月で発生している。

出典:Federal Reserve Bank of St. Louis

ネガティブな経済データの発表で資産価格が上昇したことは、FRBがインフレ抑制のために緩和的なアプローチを取り、資産価格に有利な政策を取ることを市場が期待していることを示している。

一方、COT(Commitment of Traders)レポートは、投機筋がビットコインのロングポジションを追加しているサインを示している。このレポートは、先物トレーダーが保有するポジションの週ごとの最新データで、米商品先物取引委員会(CFTC)が発表している。

小口投機家のポジションは青色、資産運用会社などの大口投機家のポジションは緑色で表示されている。7月11日頃から、小口投機家は「0.0」を超えてプラスに移行したおり、ビットコインをロングしていることがわかる。

過去には、小口投機家と大口投機家はしばしば反対の動きを示しており(2021年10月など)、個人投資家がロングになると機関投資家がビットコインをショートする可能性が高い。

出典:Optuma

オプション市場も現状、ビットコインに強気サインを出している。権利行使価格別に見ると、2万5000ドルにコールオプションの出来高と建玉が集中している。現在の価格を上回る権利行使価格での大きな出来高は、強気センチメントの表れと見ることができる。

出典:Optuma

アルトコイン

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|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:
|原文:Market Wrap: Bitcoin Pushes Higher Despite Negative GDP Report