米アップルはメタバースの発展を阻害している可能性があると、ベンチャーキャピタルEpyllionのマネージングディレクターで「THE METAVERSE: And How It Will Revolutionize Everything」の著者マシュー・ボール(Matthew Ball)氏は語った。
アップルはメタバースの「次の時代に成功」するポジションにあるように思えるが、流通に対するコントロールが業界を圧迫している可能性があるという。
「アップルは暗号資産ベースのバーチャルワールドを許可していない。特定のタイプの破壊的イノベーションとカテゴリーをうまく阻害している」とボール氏は7月28日、CoinDesk TVで語った。
メタバースは「インターネットの次のフロンティア」といわれ、米シンクタンクのピュー研究所(Pew Research Center)によると、テクノロジー関連のイノベーターと開発者の50%以上がメタバースは2040年までに人々の日々の生活と、より一体化したものになると予測している。
ボール氏によると、アップルはアメリカで多くのiPhoneを販売し、App Storeへの登録などでアプリケーションをコントロールすることで、同社の利益のかなりの部分を稼ぎ出している。
アップルがアプリケーション市場から締め出そうとしているように見えるのは、メタバースだけではない。例えば、暗号資産、ポルトに対して保守的なスタンスを取っていると同氏は述べた。
「今、暗号資産ゲームのほとんどを考えてみても、iOSでは利用できないか、できたとしても比較的初歩的なものだ」
アップルは、業界全体の未来を形作るユニークなポジションにあるとボール氏は述べた。だが同社の選択は常に一貫しているわけではない。App Storeには、Axie Infinity(アクシー・インフィニティ)、Sandbox 3D(サンドボックス3D)、CryptoKitties(クリプトキティーズ)など約30の暗号資産関連ゲームがある。
次のフロンティア
ボール氏は、アップルユーザーは自分のデバイスの使い方についてもっと自由であるべきと述べ、iOSデバイスに使われているIDシステムが、Apple IDのような独自の選択肢に限られていることに触れた。
アップルは、厳選された体験を優先するためにユーザーができることやアスセスを制限している。またiPhoneは巨大なマーケットシェアを握っていることもあり、そうしたことがイノベーションを阻害している可能性が高いとボール氏は述べた。
「誰もあなたのアイデンティティ、ソーシャルグラフ、データ、暗号資産を捕捉することはできない。そして、それらを使って競争を排除することもできない」
メタバースとは何かを理解している人はほとんどいないし、メタバースがどう発展するかは誰にもわからない。実際、ボール氏はメタバースという単語が数年後も使われているとは考えていない。
おそらく気づかないうちに「数年後には3Dシミュレーションの内部にいることが多くなるだろう。ただしアップルが今、メタバースを阻害しなければだが」とボール氏は述べた。
アップルにコメントを求めているが、当記事執筆時点までに返答はなかった。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Shutterstock
|原文:Apple Is Stifling the Metaverse, Tech Expert Says