イーサリアム(ETH)がオプション市場でビットコイン(BTC)を初めて上回った。
当記事執筆時点、大手暗号資産デリバティブ取引所Deribit(デリビット)でのイーサリアムオプションの建玉は57億ドル、一方、ビットコインオプションの建玉は43億ドルで、イーサリアムがビットコインを32%上回った。Deribitは世界最大級の暗号資産オプション取引所で、取引高と建玉の90%以上を占めている。
イーサリアムがオプション市場でビットコインを初めて上回ったのは、トレーダーがイーサリアムのコールや強気ベットを積み重ねたためだ。まもなく予定されているプルーフ・オブ・ステーク(PoS)移行、いわゆるMerge(マージ)によって、イーサリアムの発行量は90%減少し、価値保存の魅力が加わると期待されている。
コールに対する需要は、プット・コール・レシオ(コールに対するプットの相対的な数を示す指標)が低下していることでも明らかだ。コールは強気の値動きに対する投資であり、プットは下落に備えたものだ。
「デリビットでは、Mergeの結果に不安を抱く人がいる一方で、Merge後を見据えた建玉が積み上がると考えている。全体としてはプット・コール・レシオは1年ぶりの低水準となり、強気モーメントを示している」とDeribitのルーク・ストリジャーズ(Luuk Strijers)氏はコメントした。
「ビットコインのプット・コール・レシオは0.5、イーサリアムはその半分の0.26。イーサリアムの建玉が最も多くなっているのは、12月満期の権利行使価格3000ドルのコールだ」(ストリジャース氏)
イーサリアムはスポット市場の動きも活発で、大手暗号資産取引所Coinbase(コインベース)では、7月29日に終了した週の取引高のうち、33.4%をイーサリアムが占め、ビットコインは32%だった。3位は7.2%のソラナ(SOL)。
とはいえ、時価総額では1990億ドルのイーサリアムは、4430億ドルのビットコインの半分の規模にとどまっている。市場関係者のなかには、イーサリアムはまもなく、ビットコインに代わって時価総額最大の暗号資産になると確信している人もいる。
さらに、先物とオプション市場の1日あたりの取引高と先物市場の建玉では、ビットコインがイーサリアムを上回り続けている。Skewのデータによると、当記事執筆時点、イーサリアム先物の建玉は約60億ドル。ビットコイン先物の約120億ドルの半分だ。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Deribit
|原文:Ether Flips Bitcoin in Options Market for the First Time