「Merge」後のハードフォーク、影響は小さい:ブテリン氏

イーサリアムの共同創設者ヴィタリック・ブテリン氏は、9月に予定されているPoS移行「Merge(マージ)」に伴うハードフォークの影響は小さいと考えている。

週末に開催された開発者向けイベント「ETHSeoul」で、ブテリン氏は「新たなフォークで、大きな損害を受けるとは思わない」と述べた。

PoS移行によって、イーサリアムのマイナーはその収入源を失う。データによると、マイナーは7月だけで6億2000万ドル(約830億円)以上のイーサリアムをマイニングしている。Tron(トロン)創設者で投資家のジャスティン・サン氏はハードフォーク支持を表明している。

PoW(プルーフ・オブ・ワーク)支持者は2016年にイーサリアムクラシック(ETC)がスタートしたときに、そちらにシフトしているとブテリン氏は述べた。当時すでに、イーサリアムはいずれPoSに移行することはわかっていた。

「イーサリアムクラシックはすでに優れたコミュニティと、PoWの価値観を好む人たちにとって優れたプロダクトを持っていると思う」とブテリン氏。イーサリアムのエコシステムの「ほぼすべての人」がPoS移行を支持し、「かなり団結している」という。

一方、複数の著名中国人マイナーはハードフォークを提案している。つまり、マージ後もマイナーは新たにフォークしたPoWバージョンのイーサリアムを引き続きサポートできる。サン氏は保有する100万イーサリアムの一部を、いわゆる「EthereumPoW(ETHW)」の開発に投じた。

サン氏が率いる暗号資産取引所Poloniex(ポロニエックス)はすでにETHW先物を上場している。暗号資産デリバティブ取引所BitMexもETHW先物を上場した。

「2、3の部外者は基本的に取引所を持っていて、ほとんどは手っ取り早く稼ぎたいだけ。だから、実質的で長期的な普及は予想していない」

「何が起きても、人々がお金を失うことにつながらないことを願っている」とブテリン氏は述べた。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:ETHSeoulの合間に取材に応えるブテリン氏(CoinDesk)
|原文:Vitalik Buterin Plays Down Impact of Ethereum Forks After Merge