インスタグラムは2022年5月、NFT(ノン・ファンジブル・トークン)のシェアの試験運用を開始し、一部のアメリカ人ユーザーは、デジタルウォレットを接続し、自分で作成や購入したNFTを紹介することができるようになった。
2022年8月には、試験運用地域が拡大。アフリカ、アジア太平洋、中東、中南米の100カ国に広がり、コインベース・ウォレットとダッパー・ウォレット(Dapper Wallet)へも対応するようになった。
インスタグラムの親会社であるメタは、試験を実施する国の詳細なリストや機能を利用することのできるユーザーの決定方法については公開しなかった。
インスタグラムは今年5月に、収益化のチャンスを増やし、NFTをより幅広い人たちにもたらすことで、ユーザーエクスペリエンスを向上することに重点を置くと発表。
NFTシェア機能はまだ試験段階にあるが、その仕組みを紹介しよう。
インスタグラムでNFTを投稿すると?
インスタグラムがNFTに対応することで、ユーザーはデジタルウォレットを接続して、フォロワーにシェアするNFTを選ぶことができるようになった。この機能はデジタルアートギャラリーのような役割を果たし、保有したり作成したりしたNFTは、他の画像と並んでフィード内で固定することができる。
ユーザーがNFTを投稿すると、インスタグラムはその画像にシマーエフェクトを追加し、コレクションの説明などの公開情報を表示したり、作成者をタグ付けしたりする。
シマーエフェクトは、ツイッターの六角形プロフィール画像のような役割を果たし、NFTの真正性と所有権が目に見えて確認できるようになるのだ。
作成者とコレクターの双方をフィード内で自動的にメンションすることができるが、この機能もNFTの真正性と所有権をトラッキングするのに役立つと考えられている。メタによれば、インスタグラム上でデジタルコレクションをシェアするのに、手数料はかからない。
2022年8月時点では、インスタグラムはNFTの売買には対応していない。
NFTへの対応は、メタによるWeb3.0テクノロジー利用の一環であり、メタバース事業を拡大するに伴って、アクセスを拡大し、コストを削減、革新を加速させることが狙いだと、メタは説明している。
ザッカーバーグCEOは3月、メタが保有する各サイトにおけるより広範なNFT対応を示唆。インスタグラムストリーでシェアできる拡張現実NFTや、インスタグラムからNFTを発行する機能などを紹介した。
インスタグラムにNFTを投稿する方法
2022年8月時点で、NFTのシェア機能は全員が使えるものではなく、限定的なリリースに留まっている。自分が試験対象になっているかを確かめる唯一の方法は、下記のスクリーンショットのように「Digital Collectible」オプションが表示されるかどうかをチェックすることだ。
この試験運用では、レインボー(Rainbow)、メタマスク(MetaMask)、トラスト・ウォレット(Trust Wallet)、コインベース・ウォレット、ダッパー・ウォレットなど、第三者ウォレットとの接続も可能だ。
8月時点での対応ブロックチェーンは、イーサリアム、ポリゴン、フローで、ソラナも将来的に追加される予定だ。
デジタルウォレットを接続するには、「Digital Collectible」メニューを開く。そうすると、次なるステップへと続く通知画面が開く。
「Add Wallet(ウォレットを追加)」ボタンをクリックして追加のウォレットを接続することもできる。ウォレット接続はワンタイム認証であり、メタによれば、ウォレットアドレスが「公開」されることはない。
次にユーザーは、手持ちのNFTを確認し、投稿としてシェアすることができるようになる。インスタグラムでの他の投稿のシェアと同じように、スクリーン上部の「+」サインをタップして、「投稿」を選ぶことができる。
特別な検証済みのチェックマークが写真のライブラリー上に表示され、ウォレット内のどのNFTも選択することができるようになるのだ。フィードでシェアする前に、選択したNFTの説明を追加することもできる。
手持ちのNFTをシェアすると、そのNFTの所有者あるいは作成者としてタグ付けされることになる。インスタグラムはNFTと関連するブロックチェーンアドレスの所有権を確認し、NFTの所有権が真正なものかをチェックする。ユーザーはフィード内やメイングリッド上、「発見」ページからNFTを見つけることができる。
インスタグラムでNFTを収益化
ウォレットをインスタグラムに接続することは、手持ちのNFTコレクションや自分で作ったNFTを紹介し、その真正性を証明するのに良い方法だ。インスタグラムがNFTに対応する前には、ツイッターやレディット(Reddit)などの他のソーシャルメディアプラットフォームが、NFT機能を追加していた。
2022年8月時点では、コラボや資金調達、位置情報のタグ付けといった一部のツールや、ブランドコンテンツやブーストなどの、コンテンツクリエーターがこれまで収益化のために使ってきた機能をNFTで使うことはできない。収益化の主なチャンスは、NFTコレクションのマーケティングの追加の方法として使うことだろう。
インスタグラムでは、NFTの発行や取引を簡単にする方法を導入したり、ショップ機能を拡大する可能性もある。2022年8月時点では、少数の試験運用参加者がNFTを自慢するのに使うというのが、この限定的な機能の主な用途となっているようだ。
|翻訳・編集:山口晶子、佐藤茂
|画像:インスタグラム内のメタNFTウォレットイメージ画像(Meta Platforms)
|原文:NFTs on Instagram: How to Show Off Your Digital Collectibles