ENS DAOのメンバーが、eth.linkにアクセスしても、今表示されるのは、上部にある緑色のドメイン期限切れを知らせるバナーと広告だけだ。
こんな事態になったのは、ドメイン更新作業ができる唯一の人物、バージル・グリフィス(Virgil Griffith)氏が、北朝鮮に暗号資産を使って制裁を回避する方法を教えたとして5年3カ月の実刑判決を受けて刑務所にいるため。ドメインレジストラのGoDaddyが8月26日に公開した通知によると、「eth.link」は7月26日に期限切れとなり、9月5日には誰でも取得できるようになる。
ENS DAOは、ウェブ3版DNSプロバイダーであるEthereum Name Serviceを統括するDAO(自律分散型組織)。ENSは、イーサリアムコミュニティの多くが使っている「.eth」を提供している。
ユーザーは、自分のドメインを所有・管理するために.ethネームを購入する。.ethネームはウォレットアドレスと紐付けられ、ユーザーは暗号資産を簡単に送受信できるようになる(長く、複雑なイーサリアムアドレスを入力する必要はない)。
ENSのエグゼクティブディレクター、コーリ・ウィタカー(Khori Whittaker)氏によると、「ENSの立ち上げ時にイーサリアム財団で仕事をしていたグリフィス氏は、ENSプロトコルの初期の貢献者だった。ENSはパーミッションレス・プロトコルなので、誰でもDapp(分散型アプリ)を構築できた。グリフィス氏のeth.linkもその1つ。彼はドメインを購入し、ENSドメインに役立つアプリケーションを構築した」。
DAOは、eth.linkを使ってENSネームに関する情報を提供していた。ENS DAOはすでに、別のコミュニティが運営するドメイン、eth.limoに乗り換えるよう、ユーザーに通知している。
ENS DAOのツイートによると、EasyDNSのCEO、マーク・ジェフトビッチ(Mark Jeftovic)氏は、以前、このドメインを1年更新する契約を結んでいたが、GoDaddyが「突然」「予告もなく」、契約を停止したという。
We’re aware that https://t.co/C7Kj40AtGU is down. Unfortunately, the name is owned by Virgil Griffith, who is currently unavailable, and despite help from his lawyer, we’ve been unable to obtain access to his registrar account to renew the name so far.
— ensdao.eth (@ENS_DAO) August 26, 2022
「今回のような出来事は、結局のところ、分散型ネーミングシステムの重要性を示している」とウィタカー氏。「GoDaddyは、このネーミングシステムが持つパワーを明らかにした。その一方で、更新や延長のためにお金を払えば、誰でもENSドメインをサポートすることができる」。
ENSは昨年から加速度的に成長しており、8月17日にはドメインネーム登録数が200万件に達した。100万件には5年かかったが、そこから200万件までは、わずか3カ月半だった。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Pixabay
|原文:Web3 Domain Name Service Could Lose Its Web Address Because Programmer Who Can Renew It Sits in Jail