ビットコイン、一時1万9500ドル台──パウエルFRB議長の発言をどう捉えるか

週末、おおむね2万ドル超を維持してきたビットコイン(BTC)は、28日夜、2万ドルを大きく割り込んだ。

当記事執筆時点では1万9600ドル付近、24時間で2%以上下落した(日本時間29日14時頃には、1万9800ドル付近まで回復している)。イーサリアム(ETH)も1430ドル取引、4%以上下落。

ジャクソンホール会議でのパウエルFRB(米連邦準備理事会)議長の発言は、一部の投資家を失望させた。

「マクロ経済の不確実性は、ビットコイン価格の重しとなり続けている。(中略)パウエル議長の26日の発言は、早すぎる政策緩和を警告し、投資家の希望を打ち砕いた」とBitBull Capitalのジョー・ディパスカール(Joe DiPasquale)はコメントした。

他の主要暗号資産も下落しており、アバランチ(AVAX)は9%以上、コスモス(ATOM)は6%以上下落した。

パウエル議長の発言

FRB議長の発言はアメリカ大統領に次いで注目される。特にアナリストや投資家は、強い反応を示す。

7月の米CPI(消費者物価指数)が前月に40年ぶりの高水準に達したインフレ率の低下を示すなど、しばしば混乱する経済指標の中で、26日のFRBの経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」でのパウエル議長の発言は特に注目を集めていた。議長はタカ派姿勢を示すのか、それとも利上げの軟化を示すのか。

強い口調でパウエル議長は、インフレは依然として経済の健全性を脅かしており、「我々は、仕事を終えたと確信できるまで、利上げを続ける」と述べた。

以下、主要な調査機関・金融機関に、パウエル議長の発言と、タカ派的姿勢が及ぼす今後の影響について聞いた。

●「FRBは、インフレを見過ごした、あるいはインフレに拍車をかけたとして記憶されたくないだろう」Mediolanum International Fundsの市場戦略責任者、ブライアン・オライリー(Brian O’Reilly)氏[ウォール・ストリート・ジャーナルより]

●「このプロセスは痛みを伴うだろうし、パウエル議長はそのことに関してきわめて率直だと思う」「リセッション(景気後退)の可能性が高まっているのは、それがインフレ問題の解決策だからだ」Renaissance Macro Researchの米経済責任者、ニール・ダッタ(Neil Dutta)氏[ニューヨーク・タイムズより]

●「パウエル議長は制限的な政策を変えようとしておらず、この先、経済が徐々に悪化することを意味する」「ハト派的な方向転換はなかったが、金融市場はFRBの残りの利上げを完全に織り込みつつあるようだ」Oandaのシニア・マーケットアナリスト、エドワード・モヤ(Edoward Moya)氏

「パウエル議長は、今はインフレ対策が成長支援よりも重要と明確に述べている」LPL Financalのチーフエコノミスト、ジェフリー・ローチ(Jeffrey Roach)氏[CNBC]

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:CoinDesk
|原文:First Mover Asia: Bitcoin Falls to $19.6K as Investors Continue to Mull Fed Chair’s Comments