米決済企業スクエア(Square)の仮想通貨チーム、スクエア・クリプト(Square Crypto)は、スクエアが提供している特定の商品ではなく、ビットコインに重点を置いている。
それが、スクエアの仮想通貨チームの責任者、スティーブ・リー(Steve Lee)氏が、2019年7月29日(現地時間)、ツイッターで開催された「何でも聞いて(Ask-Me-Anything=AMA)」セッションで発したメッセージだった。
AMAの中で、スクエア・クリプトのツイッターアカウントは、フォロワーや仮想通貨コミュニティーの著名人らからの質問に答えていった。ツイートの文末には「スティーブ」と署名されていた。6月に起用されたリー氏が、チームの広範な方針に関して公で発言するのは今回が初めて。
AMAでスクエア・クリプトの現状を最も明らかにしたのは、おそらく次のやり取りであろう。
(「実際に使える商品はいつ完成すると思いますか?」という質問に対して)
我々が今重点を置いている商品はビットコインです。ビットコインは、10年以上利用されてきましたが、一般普及を実現するまでには、まだ、やるべきことが多くあります。スティーブ
多くの参加者は、スクエアがスクエア・クリプトを設立したのは、既存の仮想通貨ユーザーに提供しているサービスを改善するためだと思っていたようだ。スクエアのP2P送金アプリ「キャッシュ・アップ(Cash App)」は、ビットコイン販売で着実に売上高を伸ばしており、2019年第1四半期だけでビットコイン売上高は6550万ドル(約71億2541万円)に上った。
しかし、チームが重点を置いているのは、キャッシュ・アップの仮想通貨機能を強化することではない、とリー氏は述べている。上記ツイートに類似したツイートでその点がさらに明確になった。
(「スクエアを利用する企業は、決済選択肢にビットコインを組み込むことができるようになりますか?そうすれば、企業にとって処理手数料が低くなるだけでなく、スクエア全体にとっても利ざやが増えるはずです」という質問に対して)
それは、スクエアに聞いていただく必要があります。我々はオープンソースのビットコイン開発に重点を置いています。我々の働きによって、スクエアやその競合を含め、なるべく多くの商品や企業が改善されることを望んでいます。スティーブ
ビットコイン・コアに関する質問に対するリー氏の回答は、スクエア・クリプトがそのリソースの用途に関して別のビジョンを持っているかのように聞こえた。
(「ビットコイン・コア開発者をサポートする計画はありますか?」という質問に対して)
我々のプロセスはデザイン中心です。これはコンシューマーUI、インフラ、プロトコル開発につながるかもしれません。3カ月で完成するプロジェクトもあれば、3年かかるものもあるかもしれません。全ては、オープンソースビットコインコミュニティーと連携して行われます。スティーブ
スクエア・クリプトのデザイン感性については、オンラインパブリッシングウェブサイト、ミディアム(Medium)に投稿されている内容が詳細に富んでいる。
今のところ、チームに迎え入れられたのはリー氏のみのようだ。スクエア・クリプトのアカウントは、チームの規模についての質問をおおかたかわしたが、開発者をもう1人採用する寸前だということは明かした。
(「スクエア・クリプトの全体的な目標をよりよく理解できるように、ここ数カ月間において、達成できたと考えているマイルストーンをいくつか挙げてもらえますか?」という質問に対して)
1500を超える履歴書を受け取り、関心の高さに驚いています。1人目の開発者の迎え入れは、目前だと言えます。コミュニティーも認めてくれると思います。スティーブ
ある参加者は、ここ数年で多くの企業がしたように、なぜスクエアも独自のトークンを生み出さないのか質問した。スクエア・クリプトは、スクエアの創業者が過去に投稿したツイートを載せることで回答した。
ビットコインはレジリエントです。ビットコインは原理に基づいています。ビットコインはインターネットの理想から生まれています。そして素晴らしいブランドです。
翻訳:山口晶子
編集:町田優太
写真:Jack Dorsey image via CoinDesk archives
原文:Square Crypto Lead: ‘The Product We’re Focusing on Is Bitcoin’