ビットコイン(BTC)は31日、約2%上昇し、2万ドルを超える水準で推移した。29日からの下落の一部を回復したが、50日指数平滑移動平均線(EMA)を11%下回っている。
イーサリアム(ETH)もビットコインとともに上昇したが、同様に50日EMAを5%下回っている。
グローバルマクロでは、さまざまなニュースがあったが暗号資産市場に大きな影響を与えることはなかった。ドイツでは、7月の失業率は2.9%で予想と一致し、輸入物価指数は前年同月比28.9%上昇となったものの、上昇率は予想を下回った。
アメリカでは、給与計算を手がけるADPによると、8月の民間企業の新規雇用者数は13万2000人、7月の26万8000人から半減、過去3カ月の平均を60%下回った。
8月の数字は2021年1月以来の最小の数字であり、FRB(米連邦準備理事会)の利上げ政策は経済に冷却効果を与えているようだ。
アルトコインも概ね上昇し、ポルカドット(DOT)は0.55%、ポリゴン(MATIC)は3%、アバランチ(AVAX)は0.25%上昇した。
株式市場は、ADPの雇用統計が低調だったこともあって、若干下落し、ダウ平均は0.9%、ナスダックは0.6%、S&P500は0.8%下落した。
コモディティでは、原油は3%下落、天然ガスは1.2%上昇。ゴールドは0.9%下落した。
最新価格
●ビットコイン:20,196ドル、+1.2%
●イーサリアム:1,570ドル、+1.7%
●S&P500:3,955.00、-0.8%
●ゴールド:1,722ドル、-0.1%
●米国10年債利回り:3.13%、+0.02
テクニカル分析
ビットコインは上昇したものの、テクニカル分析とオンチェーンデータ分析の双方が不確実性を示している。ビットコインの日足ロウソクは、取引範囲が前日よりも小さくなる「インサイドデイ(はらみ足)」となった。
インサイドデイは、ボラティリティの低さと、トレーダーの確信のないを示すと考えられる。また価格レンジが狭まっていることは、価格が現在の取引レンジから脱けることを示していると考えることもできる。
一方、オンチェーンデータでは、ビットコインの資金調達率は依然としてマイナス。過去12日間で11日マイナスになっており、弱気センチメントが支配的になっていることを表している。
テクニカルデータを見ると、ビットコインは「コントロール・ポイント」の2万1132ドルを5%下回っている。コントロール・ポイントは多くの場合、サポートまたはレジスタンスを示すと解釈される。
RSI(相対力指数)は、買われすぎを示す30を超える35となっていることも踏まえると、トレーダーは、ビットコインは短期的には比較的横ばいで推移すると予想しているようだ。
また、チャートは相反するサインを出している。強気トレーダーは、現在の価格は7月に発生した「ダブルボトム」に近いと見ており、高い反発を期待している。弱気トレーダーは、同じチャートを「ヘッドアンドショルダー」と見なし、10日EMAが下落トレンドとなっているなか、2万ドル割れの可能性を見ている。
アルトコイン
●イーサリアム先物、ビットコインの2倍以上の清算:イーサリアム先物は、来月のPoS移行「Merge(マージ)」に向けて取引が活発化。資金調達率が弱気センチメントを示すなか、清算額はビットコインの2倍以上となった。
●イギリス王立造幣局のNFTコレクションへの期待:イギリス政府高官が4月、NFTを発行すると発言して注目を集めた。業界関係者は、成功のためには実用性とコミュニティの双方が必要で、イベント参加などの特典が必要と述べた。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:CoinDesk
|原文:Market Wrap: Bitcoin’s Price Rises Amid Uncertainty