世界中のバスケットボールファンに向けて、ブロックチェーンを基盤とする新たなプロジェクトが公開された。
米プロバスケットボール協会(NBA)とプロバスケットボール選手協会(NPBA)は7月31日、著名なブロックチェーンゲーム企業のDapper Labsと提携して、「NBA Top Shot(NBAトップショット)」と呼ばれるデジタル収集物やゲームのプラットフォームを開発していると発表した。オンラインで所有していることを証明でき、取り引きが可能なデジタル収集物のサービスは、今秋にローンチを予定している。
ユーザーはこのゲームで、NBAシーズンから試合中の選手の「モーメント」を獲得し、自身のチームを作成していく。モーメントとは選手の華麗なプレーの瞬間のことで、例えばケビン・デュラント選手のスリーポイントシュートやジョエル・エンビード選手のダンクシュートを指す。モーメントはデジタル収集物としてオンラインで所有・売買できるだけでなく、他のプレーヤーと対戦することに使われる。
関係者によると、NBAのワシントン・ウィザーズに所属し、日本代表にも選出された八村塁選手のモーメントも取り引きされる可能性があるという。
NBAの消費財・ゲーミングパートナーシップ部門でシニアディレクターを務めるAdrienne O’Keeffe氏は、「Dapper Labsのイノベーションと専門知識は、この画期的なゲームを導入するための完璧なパートナーだ。世界中のバスケットボールファンが欲しがるデジタル収集物になると確信している」と、発表文の中で述べた。
ブロックチェーンゲームの先鞭をつけたDapper Labs
Dapper Labsは、仮想通貨のイーサリアムを用いて、世界的に有名なクリプトキティというブロックチェーンゲームを展開してきた。さまざまな固有な猫を収集・育成するゲームで、その猫は資産性を持つ。取り引きされた猫の中には、1000万円相当の値(仮想通貨ベース)がついたものもある。
同社はこれまで2800万ドル(約30億円)以上の資金を、米大手ベンチャーキャピタルのアンドリーセン・ホロウィッツや、GV(旧グーグルベンチャーズ)を含む10社以上から調達してきた。
Dapper Labsの最高経営責任者であるRoham Gharegozlou氏は、発表文の中でこう述べた。
「NBAトップショットを通じて、バスケットボールのファンは、有名なプレーヤーやチーム、そしてファン同士と交流できる。我々は最新のブロックチェーン技術を用い、持ち運びできて永続的なことはもちろん、限定版かつ本物だと保証された資産や体験を作り出していく」
Dapper Labsの広報担当者はCoinDesk Japanに対し、同ゲームの基盤にはファン体験を最大化する最善のプラットフォームを選ぶとしながらも、「現在のところ、イーサリアムはそれに適しているようだ」と述べた。
今秋に予定されるデジタル収集物のローンチを経て、ゲームは早ければ2020年初めに一般公開される。
文:小西雄志
編集:佐藤茂
写真:ウィキコモンズ(撮影:Shuhei S:2018年9月17日)