ソーシャルメディア大手のフェイスブック(Facebook)は、多くの人々が指摘してきたこと、つまり同社のグローバル仮想通貨プロジェクト「リブラ(Libra)」のローンチにあたって、規制的問題という壁を乗り越えられないかもしれないことを認めた。
フェイスブックは、米国証券取引委員会(SEC)に提出した最新の四半期決算報告の中で、アメリカやその他国々において、新テクノロジーに対する規制が不明瞭であることを指摘し、それは「リブラやそれに関連する製品・サービスを予定通りに提供できる、もしくはそもそも提供できるという保証が一切できない」ことを意味すると明した。
「リブラ協会(Libra Association)への参加によって、フェイスブックは規制当局の厳しい監視の対象となるだけでなく、事業、評判、決算に悪影響を与え得る、その他のリスクにさらされることになるだろう」と同社は述べている。
また同社は、リブラは「比較的新しく、実証されていないテクノロジーに基づいている」とし、デジタル通貨関連の法律や規制は「不確かで、進化している最中だ」とも指摘している。
SECに提出された報告書には「リブラは複数の法域の政府や規制当局による厳しい監視を招いており、我々はそのような監視が続くと考えている」と記されている。
リブラは何十億人ものフェイスブックユーザーに仮想通貨を普及させることができる可能性を秘めている。しかし、フェイスブックが指摘する通り、リブラは世界中の規制当局から注目を集めている。
リブラが中央銀行の発行する通貨と金融安定に対する脅威となり、マネーロンダリングや詐欺にグローバルな手段を提供する可能性があるという懸念から、中央銀行、閣僚、監視機関らは、同プロジェクトに関するさらなる情報を要求している。
主要7カ国(G7)は、仮想通貨関連の問題を検討するためのタスクフォースを設立した。同タスクフォースは、特にリブラに焦点を当てており、2019年7月に、リブラプロジェクトを管理するためには「最高水準の」規制が必要となるとの結論を出した。
下院金融サービス委員会委員長を含む一部の人々は、そのような懸念が解消されるまではプロジェクトを一時中断することさえも要求している。
フェイスブックは報告書の中で次のように述べた。
「これらの法律や規制、および関連する問い合わせや捜査は、リブラ通貨のローンチ、および我々の製品・サービスの開発を遅らせる、または妨げる可能性があります。またそれだけでなく、運営コストを膨らませ、管理のために膨大な時間や注意を必要とする、もしくは我々の事業に害を及ぼす可能性があります」
フェイスブックがリブラの実現可能性に対して抱える疑念は、全てが規制によるものというわけでもない。同社は、リブラが人気製品として成功できるかどうかが不確実なこと、そして同社が「デジタル通貨やブロックチェーン技術分野における、しっかりとした経験」を欠いていることも、困難をもたらす可能性のある要素として挙げている。
これらは「製品・サービスの開発とマーケティングを成功させる上で悪影響をおよぼす可能性がある」。
フェイスブックは、この無用の長物となる可能性のあるプロジェクトにどれだけ資金をつぎ込んでいるのかについても少し心配しているように思われる。同社は、報告書の中で次のように結論付けた。
「リブラ協会への参加や、関連製品・サービスの開発とマーケティングは、コストの増大を招くこととなり、我々の投資は成功しない可能性もあります。これらのいかなる結果も弊社の事業、評判、決算に悪影響を与える可能性があります」
翻訳:山口晶子
編集:町田優太
写真:Facebook image via Shutterstock
原文:Facebook Libra Might Not Ever Launch, Concedes Firm