暗号資産(仮想通貨)は8月、好調なスタートを切った後、下落した。一部のアルトコインは個別のニュースでトレンドに逆行した。
8月中旬頃からの下落は、FOMC(米連邦公開市場委員会)の7月の議事録が公開され、FRB(米連邦準備制度理事会)が引き続き積極的なインフレ対策を取ることが明らかになったことが契機となった。
ビットコイン(BTC)は8月に約13%、イーサリアム(ETH)は約20%下落した。しかし、すべての暗号資産が下落したわけではない。個別のポジティブなニュースによって上昇した暗号資産もあり、弱気相場での上昇は、進化し、投資家を引きつけている個々のプロジェクトの独立性を浮き彫りにした。
ファントークンプラットフォームのソシオス(Socios)が発行する暗号資産チリーズ(Chiliz/CHZ)が8月、CoinDesk20のなかで最大の上昇を見せた。CoinMarketCapによると、ソシオスはイタリアで営業するための認可を受けたことで、チリーズは75.8%上昇した。
コスモス(ATOM)は14.5%上昇し、ほとんどの暗号資産を上回った。上昇は、9月下旬にコロンビアで開催される会議でトークノミクスの再設計を発表するとプロジェクトが明らかにしたことが契機となった。
イオス(EOS)も、EOS Network Foundation(ENF)が現行の基盤プロトコルEOSIOから、Antelope(アンテロープ)への移行を発表したことで、3.6%上昇した。
暗号資産ヘッジファンド、アルカ(Arca)のリサーチ責任者ケイティ・タラティ(Katie Talati)氏は、ニュースに関連した価格上昇は「資産の分散という観点で健全」と述べた。また「弱気相場では、トークノミクスの変化が価格上昇の要因となる傾向があることは興味深い」とコスモスのトークノミクス再設計と価格上昇に触れた。
ネガティブなニュースで下落
だが、他の主要アルトコインはネガティブなニュースで下落した。8月上旬、600万ドルのハッキングが発生し、9000以上のホットウォレットが被害を受けたことが、ソラナ(SOL)の25.7%下落につながった。
アバランチ(AVAX)は、自称内部告発者が、開発会社のアバラボ(Ava Labs)は弁護士に金を払い、訴訟を起こすことで競合チェーンを陥れるようとしていると批判したことで、19.1%下落した。
タラティ氏は、アルトコイン価格に影響を与える可能性のあるニュースやイベントとして、イーサリアムブロックチェーンの大規模アップグレード「Merge」をはじめ、9月に開催されるシンガポール・ブロックチェーン・ウィーク、イーサリアム開発者会議(Ethereum Devcon)などに注目していると述べた。
「マージの後のイーサリアム開発者会議の内容に興味がある。もしかしたら、今後12カ月のロードマップの詳細を知ることができるかもしれない」とタラティ氏は述べた。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:CoinDesk20
|原文:Chilliz, Cosmos and EOS Tokens the Best Crypto Performers in August in Bear Market