イーサリアム(ETH)先物の建玉はこの1カ月で約10%増加し、ビットコイン(BTC)先物の建玉を上回っている。データサイトのカイコ(Kaiko)が複数の暗号資産(仮想通貨)取引所からのデータをまとめて判明した。
イーサリアムとビットコインの先物市場の建玉合計のうち、イーサリアムの割合は8月1日の45%から現在、57%に上昇。データを見ると、イーサリアムの建玉は7月の40億ドル以下から今週は84億3000万ドル超にまで増加した。
過去24時間の先物データによると、取引高はビットコイン先物が320億ドル、一方、イーサリアム先物は350億ドルを超えている。通常は、ビットコイン先物の方が取引高が多い。
イーサリアム先物への関心は、トレーダーが今月末に予定されているイーサリアムブロックチェーンのMerge(マージ)を前に、ポジションを取っていることが要因だろう。マージは、イーサリアムの市場ダイナミクスを変え、価格変動を引き起こす触媒となっている。
資金調達率のデータは、建玉のかなりの部分がショートトレード、つまり価格下落に賭けるポジションである可能性を示している。
カイコのアナリスト、コナー・ライダー(Conor Ryder)氏によると、こうしたショートトレードは、マージが失敗もしくは遅延することに賭けるか、あるいは、マージに先立って現物のイーサリアムのポジションをヘッジする目的で人気が高まっているという。
後者は特に、イーサリアムブロックチェーンのフォーク(分岐)と、新しい暗号資産ETHPOWのエアドロップを期待する人がいるため、ますます人気が高まっているとライダー氏は述べた。
「イーサリアムの現物(スポット)をロングし、先物をショートして、ETHPOWのエアドロップに参加できるようにする戦略が広まっている。つまり、現物をロング、先物をショートすることで価格リスクを排除し、ETHPOWで潜在的な配当を得ようという戦略だ」(ライダー氏)
先物市場のデータから考えると、ETHPOWは18ドル付近、イーサリアムの現在の価格のわずか1.5%付近でスタートする可能性が高い。
マージ後は、時間の経過とともにイーサリアムの供給量は減少し、最終的には需要の増加に伴う価格上昇を引き起こすと考えられている。だがイーサリアムの中期的なパフォーマンスに対して、懐疑的な見方を続けているトレーダーも存在する。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Kaiko
|原文:Derivative Volumes of Ether Surpass Bitcoin Ahead of Merge; Here’s Why