ビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)は8日、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長のタカ派発言と、予想を上回る雇用統計データによって大幅利上げの可能性が高まるなか、株式市場など伝統的リスク資産とともに上昇した。
パウエル議長は8日、シンクタンクのケイトー研究所(Cato Institute)が開催した討論会で、インフレ抑制に向けたFRBの取り組みを改めて強調、9月に0.75%の利上げが行われる見込みが高くなった。
ビットコインは、パウエル議長のタカ派的な発言にもかかわらず、0.4%上昇した。取引高は、20日移動平均をわずかに下回った。
イーサリアムは、0.94%上昇、取引高は平均を上回った。ビットコインとイーサリアムの30日相関関係は0.9、依然として高い水準となっている。
マクロ経済環境では、9月3日終了週の新規失業保険申請件数は予想の23万件に対して、22万2000件。4週連続の減少で、5月以来の低水準。予想を上回る雇用統計データは、FRBにとっては利上げの根拠となる。
株式市場も上昇した。ダウ平均は0.6%、S&P500は0.7%、ハイテク株比率の高いナスダックは0.6%上昇した。
コモディティでは、原油先物は1.1%上昇、天然ガス先物は1.6%上昇、ゴールドは0.54%下落した。
アルトコインもおおむね上昇。ポルカドット(DOT)が2.6%、ソラナ(SOL)が2.7%、アーベ(AAVE)が0.8%上昇した。
最新価格
●ビットコイン:19,373ドル、+0.9%
●イーサリアム:1,647ドル、+1.0%
●S&P500:4,006.18、+0.7%
●ゴールド:1,719ドル、+0.2%
●米国10年債利回り:3.29%、+0.03
テクニカル分析
ビットコインとイーサリアムの値動きはほぼ同期しているが、テクニカルチャートでは、異なる状況が見える。
価格別の取引高を示すVPVRを見ると、ビットコインはレジスタンスの下で、イーサリアムはサポートの上で取引されているようだ(チャートは、1月1日の価格が基準)。
最も取引高が多くなっているコントロールポイント(赤線)を基準に見ると、ビットコインは2万1400ドルのコントロールポイントに対して約10%のディスカウント、イーサリアムは1147ドルのコントロールポイントに対して約40%のプレミアムで取引されている。またイーサリアムは現在の価格レベルの取引高も多くなっている。
こうした違いは、2つの暗号資産をめぐるストーリーの違いを示している。ビットコインは過小評価されているように思えるが、マクロ経済的なハードルが、短期的には制約となっている。
現状、ドルとビットコインは逆相関関係になっており、ドル高を促進する動きは、ビットコイン価格にマイナスの影響を与えることになる。
一方、イーサリアムはまもなく行われるMerge(マージ)の恩恵を受けているようだ。投資家はマージをインフレや経済成長にまつわるハードルを、少なくとも部分的に克服する契機と見ているようだ。
またイーサリアム/ビットコイン(ETH/BTC)ペアは7月以降、60%上昇しており、2つの暗号資産のパフォーマンスの違いを強調している。
アルトコイン
●マージ、すぐにはデフレ効果をもたらさない可能性:マージはイーサリアムの供給量を減少させ、デフレ効果をもたらすと期待されている。だが、現状の取引高の低さは、期待される効果を遅らせる可能性があると、暗号資産取引を。詳しくはこちらをご覧ください。暗号取引会社QCP Capitalは指摘した。
●バイナンス、KYCを完了したユーザーに「Soulbound」トークン発行:トークンを保有するユーザーはBNBチェーン上の開発プロジェクトに参加できるようになる。イーサリアムの共同創設者微タリック・ブテリン氏が提案したSoulboundトークンは、譲渡不可能なNFT。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:TradingView
|原文:Market Wrap: Bitcoin Up Slightly Despite Fed Chairman’s Hawkish Comments