暗号資産(仮想通貨)の自動両替機が都内で稼働を始めた。設置したのは昨年6月に暗号資産交換業者に登録されたガイアで、今年8月に1号機を大阪で稼働させたばかり。同社は今後1年で国内の設置台数を50台、3年で130台に増やす方針だ。勝算はあるか?
神田駅に近いガイアの東京オフィスロビーに設置された両替機は、「BTM」と呼ばれ、今月9月に正式に稼働を始めた。ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、ライトコイン(LTC)、ビットコインキャッシュ(BCH)の4種類の暗号資産から現金の日本円に両替できる。
BTMを利用するには、ガイアで口座を開き、専用のカードを取得する必要がある。1,000円単位で出金でき、1度の使用制限は100,000円で、年間の使用制限は500万円。手数料は20%。
「現時点でのBTMサービスが、理想のかたちだとは思っていない。現行の法律の下、サービスは日本居住者に限ったもので、手数料も決して低いとは言えない」と、ガイア代表取締役の小倉基宏氏は話す。「当面の間は、BTMを通じて、多くの人たちが暗号資産が通貨として機能することを体験してもらいたい」
暗号資産ATMの設置数で最多の米国
ビットコインのATMは4年前まで東京・六本木などに設置されていたが、暗号資産交換業者(取引所)で資金の不正流出事故が起こった後、国内から姿を消した。
コインATMレーダー(Coin ATM Rader)のデータによると、世界には約38,400台の暗号資産ATMが存在する。2019年の約6,000台から6倍以上に増えた。
そのうちの9割を占める約36,800台が北米に設置されている。欧州は約1,460台で、アジアが約280台。ビットコインを法定通貨の1つに定めたエルサルバドルには、およそ210台が稼働している。
ビットコイン・デポ(Bitcoin Depot)は、アメリカで約6,900台の暗号資産ATMを運営する企業で、コンビニ・ガソリンスタンドチェーンを展開するサークルK(Circle K)などと提携し、設置台数を増やしてきた。
ビットコイン・デポは8月に、特別買収目的会社(SPAC)との合併による株式の上場計画を発表。上場時の企業評価額は8億8500万ドル(約1270億円)を想定しているという。
「大都市を中心にキャッシュレス化、金融のデジタル化は進んできているが、日本では特に現金に対するニーズが依然としてある。今後、暗号資産交換業者などのブロックチェーン企業が入居するオフィスや、街中の金融機関ATMを設置している事業者スペースなどで、設置数を増やしていきたい」と、小倉氏は述べた。
|インタビュー・編集:佐藤茂
|フォトグラファー:多田圭介