イーサリアムブロックチェーンのPoS移行「Merge(マージ)」は今週実行されると見られているため、イーサリアム(ETH)に注目が集まっている。マージは、協定世界時(UTC)9月15日2時38分〜3時52分(日本時間15日11時38分〜12時52分)の間に行われると予想されている。
ビットコイン(BTC)の値動きは13日に発表される最新のインフレデータとその後のFRB(米連邦準備制度理事会)の動きに連動しているように思える一方で、イーサリアムの値動きはマージに連動しているようだ。12日は相反した値動きになったが、ビットコインとイーサリアムは高い相関関係を維持し、30日相関関係は0.90、10日で見ても0.89と高い。数字は0.70以上が相関関係が高い、0.30以下が低いとされる。
ビットコインは12日、3%上昇し、取引高は20日移動平均と比較すると同じレベルだった。イーサリアムは4.8%下落した。
投資家は13日発表されるアメリカのインフレデータに注目している。アナリストの事前予想ではCPI(消費者物価指数)は8.5%上昇、食品とエネルギーを除いたコアCPIは5.9%上昇と見られている。FOMC(米連邦公開市場委員会)はインフレデータを精査し、利上げペースを加速させるか減速させるかを判断する。
株式市場:ダウ平均は0.7%、S&P500は1%、ハイテク株比率のナスダックは1.2%上昇した。
コモディティ:天然ガスが4.9%上昇、原油が1.4%上昇した。経済活動の全般的なバロメーターと見なされる銅は1.2%上昇、ゴールドは0.5%上昇した。
アルトコイン:概ね上昇。ポルカドット(DOT)が0.3%、アバランチ(AVAX)が4%、ソラナ(SOL)が6%上昇した。
最新価格
●ビットコイン:22,410ドル、+3.2%
●イーサリアム:1,725ドル、-2.7%
●S&P500:4,110.41、+1.1%
●ゴールド:1,737ドル、+1.2%
●米国10年債利回り:3.36%、+0.04
テクニカル分析
イーサリアムはマージへの不安からか、12日は下落。取引高は平均以上だった。取引高はしばしば、値動きの背後にある確信のレベルを語る。ETH/BTCペアは通常の2倍の取引高となった。
イーサリアムは7月以降、ビットコインに対して40%上昇し、マージに向けた楽観的な見方を示したが、9月8日以降は9.2%下落し、マージ直前の慎重姿勢を示している。
上図を見ると、ETH/BTCのRSI(相対力指数)がここ数日で75.7から41.4まで低下している。70以上の資産の過大評価、30以下は過小評価を意味する。41.4は中立。
イーサリアムの米ドルに対するRSIは57で、ETH/BTCペアよりも過大評価になっているが、買われすぎを警戒するほどではない。
イーサリアムの資金調達率はマイナスで、弱気センチメントを示している。5月1日から8月14日までは毎日プラスで、それ以降は5日間以外は毎日マイナス。暗号資産取引所FTXのデータによると、イーサリアムの30日平均資金調達率(年率換算)はマイナス12.16%、90日資金調達率はマイナス5.65%。ちなみに過去最高は13.03%。
投資家、特に機関投資家はマージの結果を待っているようだ。さらに最近のオンチェーンデータを見ると、取引所に送られるイーサリアムがわずかに増加している。取引所に預けられた資産の増加は、しばしば下落の前兆となることがある。
アルトコイン
●Merge、機関投資家のイーサリアム投資を促進:バンク・オブ・アメリカのレポートによると、Merge(マージ)は機関投資家のイーサリアム投資を促進する可能性があるという。同行は、PoWベースの暗号資産の購入を禁じられていた機関投資家が、PoSに移行したイーサリアムを購入するようになるかもしれないと述べた。
●スターバックス、NFTのポイントサービス:スターバックスがNFTを活用したポイントプログラムを開始、基盤ブロックチェーンにはポリゴン(Polygon)を採用した。サービスの名称は「スターバックス・オデッセイ(Starbucks Odyssey)」。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:CoinDesk
|原文:Market Wrap: Ether Falls Despite Merge Anticipation; Bitcoin Climbs as Investors Await Inflation Data