リナックス財団、相互運用可能なデジタルウォレット開発へ

リナックス財団(Linux Foundation)はさまざまなユースケースに対応する相互運用可能なデジタルウォレット開発を促進するために、オープンウォレット財団(OpenWallet Foundation:OWF)の設立を計画している。

リリースによるとOWFは、組織や企業が独自の相互運用可能なデジタルウォレットを開発できる、オープンソースのソフトウェアエンジン開発に注力するという。OWF自体は独自ウォレットを開発したり、ウォレット開発のための認証や新規格を提供することはしない。

リナックス財団のメディアリレーション・コミュニケーション担当ディレクター、ダン・ホワイティング(Dan Whiting)氏は「OWFは、ユーザー自身が簡単にデジタル認証情報やデジタル資産を保存し、利用できる多くのユースケースを実現したいと考えている。可能性のあるユースケースの1つとして暗号資産が考えられるが、それはOWFオープンソースエンジンが対応できる唯一のユースケースではないだろう」と述べた。

オープンソースの重要性

リナックス財団エグゼクティブディレクターのジム・ゼムリン(Jim Zemllin)氏によると「デジタルウォレットはデジタル社会にとってきわめて重要な役割を果たすと確信している。オープンソフトウェアは相互運用性とセキュリティの鍵」。

大手コンサルティング企業アクセンチュアのデビッド・トリート(David Treat)氏は「ユニバーサル・デジタルウォレットのインフラは、デジタル世界においてトークン化されたアイデンティティ、マネー、オブジェクトを移動させる能力を生み出すだろう。大規模なビジネスモデルの変化が起こり、勝利するデジタルビジネスはウォレット内のリアルデータに直接アクセスして信頼を獲得し、はるかに優れたデジタル体験を生み出すだろう」と述べた。

2000年に設立されたリナックス財団とそのプロジェクトは、インテル、マイクロソフト、グーグル、メタ・プラットフォームズなどのテック大手をはじめ、3000以上の会員によって支えられている。

リナックス財団のウェブサイトによると、ブロックチェーン関連の会員企業には、ストレージプラットフォームの0Chain、レイヤー1ブロックチェーンのアルゴランド(Algorand)、エンタープライズ向けブロックチェーン開発企業のCasper Labsなどがいる。

リナックス財団は、人気のオープンソースOS「Linux」とエンタープライズ対応のブロックチェーン基盤開発に注力する非営利団体ハイパーレッジャー(Hyperledger)をサポートしている。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Shutterstock
|原文:Linux Foundation Project Will Tackle Digital Wallet Interoperability