【US市場】ビットコイン、1万9000ドル割れ──当面は横ばいか

ビットコイン（BTC）とイーサリアム（ETH）は20日、翌日のFOMC（米連邦公開市場委員会）での利上げ幅決定を前に下落した。

ビットコインは2.5％下落。21日の利上げ幅の発表を前にリスクオフの動きが表れたようだ。日本時間21日10時時点では、再び1万9000ドルを割っている。

イーサリアムは1.6％下落、過去10日間で6日目の下落となった。15日のMerge（マージ）以降18％下落、年初から63.5％下落している。イーサリアムの供給量はマージ後、3700ETH増加、デフレには結びついていない。ただしマージがなければ、同期間に6万6000ETH増加していたと推測される。

暗号資産全体のパフォーマンスを測定する広範な市場指標、CoinDesk Market Index（CMI）は2.5％下落した。

経済カレンダー：投資家や経済評論家などは21日の利上げ幅決定を待っている。シカゴ・マーカンタイル取引所（CME）のFedWatchでは、利上げ幅0.75％の確率は84％、1％の確率は16％となっている。仮に1％の利上げとなれば、40年ぶりとなる。

今回で利上げは5回連続。過去の利上げ幅は以下の通り。

7月28日：0.75％
6月16日：0.75％
5月5日：0.50%
3月17日：0.25％

利上げ後の30日でのビットコインのリターンは、それぞれ、マイナス3％、マイナス18％、3.9％、マイナス18％。

株式市場：株式市場は下落。ダウ平均は1％、ナスダックは0.95％、S&P500は1.1％下落した。

コモディティ：原油は1.3%下落、天然ガスは0.6%下落。経済全体の健全性を測る指標として使われる銅先物は0.31%下落、ゴールドは0.26%下落した。

ドルインデックス（DXY）：0.5%のわずかな上昇。

テクニカル分析

ビットコインは狭いレンジで取引されており、当面はこの状態が続くと思われる。上昇の起爆剤は見られず、わずかに期待できるのは、FRBの金利政策に市場が何を期待するか、あるいはFRBがどの程度市場を驚かせるかなどだ。

だがFRBが金利について驚くような発表をすることはないだろう。金利については数週間前から概ね伝えられており、投資家はFOMC終了後のパウエルFRB議長の発言に注目している。

パウエル議長がインフレについて楽観的な見方を示した場合、ビットコインは上昇する可能性が高い。そうでなければ、ほとんどの指標は価格が横ばいとなることを示している。

テクニカル的には、ビットコインはVPVR（Volume Profile Visible Range）では「point of control」を下回っている。VPVRは、さまざまな価格レベルでの取引高を表している。上図の赤線で示されたpoint of controlは、最も取引高が多い価格レベルを示す。

資産がpoint of controlを上回っている場合、point of controlはサポートとなり、逆の場合はレジスタンスとなる。

また、現在の価格がpoint of controlを大きく下回れば、チャンスにもなる。ビットコインは現在、point of controlを7％下回っているが、大きな買い圧力となるほどの魅力的な機会ではないようだ。

ある期間における平均的な取引レンジを表すビットコインのATR（Average True Range）は現在5％。価格とpoint of controlの7％の差よりも小さい。RSI（相対力指数）は38で、ビットコインが現時点で公正に評価されていることを示しており、今後も値動きは穏やかなものになりそうだ。