デジタルユーロ、EU域外まで普及する可能性がある:ラガルドECB総裁

デジタルユーロがEU(欧州連合)の枠組みを超えて普及することは「十分にあり得る」と欧州中央銀行(ECB)のクリスティーヌ・ラガルド総裁は語った。

デジタルユーロは「ボーダーレス」かつ「規制され、適切に監督」されるべきとラガルド総裁は9月28日に開催されたイベントで述べた。

「だが、デジタルユーロは国境を越えた決済を大きく促進することができる。だからこそ、アメリカ、ヨーロッパ、そして他の地域の当局間で詳細を検討する必要がある」(ラガルド総裁)

ECBは個人決済向けデジタルユーロに関する2年にわたる調査の途中であり、まだデジタルユーロ発行の決定は下していないものの、EU委員会はデジタルユーロ法案を準備している。

ECBはまた、デジタルユーロ・アプリのプロトタイプ開発のためにアマゾンをはじめ、5社の決済プロバイダーを選定した。

ラガルド総裁は、デジタルユーロが法定通貨として採用される可能性については直接言及しなかったが、ECBは以前、デジタルユーロがEU域外で使用された場合のリスクを取り上げている。

「非居住者がデジタルユーロを使用した場合にも、同様の機能を適用する必要があるだろう。これによりデジタルユーロが他の形態の投資をリプレースし、EU域外の国々で通貨として使われることを防ぐことができる」とECBのファビオ・バネッタ専務理事は2021年に語っている。

「いずれにせよ、国際金融システムへのリスクに対処しつつ、国境を越えた決済のための中央銀行デジタル通貨(CBDC)の潜在的メリットを手にするためには、設計、国境を越えた利用、相互運用性に関する国際協力が重要となる」(バネッタ専務理事)

すでにデジタル決済が普及し、現金の使用が減少しているEUで、人々はデジタルユーロに関心を持つだろうかという質問に対してラガルド総裁は、人々が望むならデジタルユーロはECBが準備すべきものというECBの姿勢を改めて強調した。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Shutterstock
|原文:Digital Euro Could be More Popular Beyond EU’s Borders: Lagarde