暗号資産(仮想通貨)とNFTの取引サービスを手がけるコインチェックが、Web3領域でグローバルに投資するアニモカブランズ(Animoca Brands)とのパートナーシップを強化し、NFTとメタバース事業の拡大を加速させる。
コインチェックは10月4日、アニモカブランズと進めてきた戦略的パートナシップをさらに強化することで合意したと発表。今後、アニモカブランズが出資するプロジェクトのNFTを、コインチェックのNFT取引サービス「Coincheck NFT β版」で取扱い、国内市場で流通させることでプロジェクトの成長を後押しする。
ヤト・シウ(Yat Siu)氏が香港で共同創業したアニモカブランズは、ブロックチェーンゲームやブロックチェーン基盤のメタバース、NFTを活用したプロジェクトの開発から投資、買収までを行う企業。直近の資金調達では、59億ドル(約8560億円)の企業評価額をつけた。
同社が投資するポートフォリオは、150を超える世界中の企業やプロジェクトで構成され、東南アジアを中心に人気を集めたPlay-to-Earn(ゲームをプレイしながらトークンを稼ぐ)型の「Axie Infinity」ゲームや、NBA(全米プロバスケットボール)の名場面のショート動画をNFT化した「NBA Top Shot」を開発したDapper Labsなどが含まれる。
ブロックチェーン型メタバースに注力
アニモカブランズはメタバースゲーム領域のプロジェクトにも積極的に投資を行っている。その一つは、ネイティブトークン(暗号資産)の「SAND」が利用されているメタバースの「The Sandbox」。また、世界的に人気を集めたNFTコレクション「Bored Ape Yacht Club(BAYC)」を手がけたYuga Labsと共同で、メタバース「Otherside」をプロデュースした。
一方のコインチェックは、暗号資産取引サービスに加えて、NFTマーケットプレイスの運営と、ブロックチェーン型メタバース事業をコアビジネスに据え、事業規模の拡大を図っている。今年3月には、親会社のマネックスグループが、コインチェックの株式をアメリカのナスダック(Nasdaq)市場に上場させる計画を明らかにした。
メタバース事業では、コインチェックはThe Sandbox内で「Oasis TOKYO」と名づけた都市を作るプロジェクトを開始。同じく、ブロックチェーン型メタバースの「Decentraland」内で、「Oasis KYOTO」の制作を進めている。Decentralandは、ネイティブトークンの「MANA」が使われいるメタバースで、米銀最大手のJPモルガン・チェースのブロックチェーンプロジェクト子会社がメタバースラウンジを開設して注目を集めた。
今年7月には、Othersideのメタバースで「Oasia MARS」と呼ぶ近未来都市の制作開始を発表している。
アニモカブランズのシウ氏は、「コインチェックとのコラボレーションを強化し、よりプレミアムなNFT、メタバース、ゲームプロジェクトを、⽇本で積極的にWeb3のプロダクトを楽しんで活⽤していただいている皆様に提供できることを光栄に思う」とコメント。
コインチェックで、NFTやメタバースなどのWeb3事業を統括する天羽健介氏は、「The SandboxやOthersideのように次世代のSNSとして注⽬を集めるオープンメタバースプロジェクトや、Animoca Brandsが開発するGameFiプロジェクトには無限の可能性がある。(コインチェックは)NFTとクリプトの2つの側⾯から⽇本市場のブリッジとなり、Web3業界を盛り上げていきたい」と述べた。
|編集:佐藤茂