米ミシカル・ゲームズ:「MYTH」トークン、DAOを開始――ツイッター元幹部、アニモカが顧問に選任

アンドリーセン・ホロウィッツ(a16z)などから大型資金を調達し、次世代ゲームの開発を行う米ミシカルゲームズが、ブロックチェーンゲームのエコシステムを運営するためのDAO(自律分散型組織)を設立し、その組織を管理する財団「Mythos Foundation」を開設した。また、同エコシステムで機能するトークン(暗号資産)「MYTH」を発行する。

10月5日(米西部時間)の発表によると、同財団の初期アドバイザーには、アニモカブランズ(Animoca Brands)のヤト・シウ会長やポリゴン・スタジオ(Polygon Studios)のライアン・ワイアット社長、サンリオでCOOを務めた鳩山玲人氏、ツイッター(Twitter)元COOのアダム・ベイン氏を含む12名が選ばれた。

Mythosは今後、10億トークンを固定供給量とするネイティブトークン「MYTH」を発行する。MYTHは、イーサリアムブロックチェーンとの互換性を持つERC-20規格で設計し、ゲーマーや開発者、クリエーターが参加しやすいエコシステムの拡大を図る。

ミシカル・ゲームズは、MYTHをユーティリティトークンとして、同社が独自に開発したブロックチェーン「ミシカルチェーン(Mythical Chain)」上で流通させる。

ミシカル・ゲームズのプラットフォームで展開する「ブランコスブロックパーティー(Blankos Block Party)」、「NFL Rivals」、「ナイトロ・ネーションズ・ワールドツアー(Nitro Nations World Tour)」などのゲームでは、ゲームアイテムがNFT化されているが、今後はMYTHトークンを利用して、アイテム(NFT)を購入できるようになる。

Mythos財団の5つの重点エリアとアドバイザー

Mythos財団が重点的に開発支援を行うエリアは5つ。

①クロスチェーンインフラ(複数のブロックチェーンの相互運用)とNFTの流通
②NFTを軸にしたゲーム開発者のための経済圏の確立
ゲーミングギルドやギルドコミュニティへの統合と支援
④従来のeスポーツ参加者によるWeb3への参入
⑤伝統的なゲーミングプラットフォームと次世代のゲームやゲーマーを支援する政策を作るためのパートナーシップ

Mythos財団の12名の初期アドバイザーは以下の通り。

鳩山玲人 – 元サンリオのCOO
ピート・ハーリー – 100 Thieves のチーフプロダクトオフィサー
・ヤト・シウ – Animoca Brands の会長
・ジャシ・ヘイズ – FaZe Clan のチーフコーポレートアライアンスオフィサー
・アレックス・パル&ドルウ・タガルト – The Chainsmokers & MANTIS VC
・ライアン・テダー – OneRepublic
・アダム・ベイン – ツイッターの元COO
・マシュー・ラトラー – MasterclassのHead of Talent
・アレックス・シェイナー – 元Clevelands Brownsの社長&Dallas CowboysのCOO
・レスリー・シルバーマン – UTAのHead of Web3
・ケント・ウェイクフォード – Kabam, Forte の元COO
・ライアン・ワイアット – Polygon Studios の社長

ゲーミングギルドとは:プレイヤーにゲーム内で利用するNFTアイテムやキャラクターを貸し出したり、情報提供を行いながらプレイヤーを支援するコミュニティのこと。

LINE、Oasys、ポケGOのNianticがパートナー

Mythos財団は、Web3のゲームにおいてNFTが流通する完全に分散化された仕組みを作り上げるため、20以上の企業を初期のパートナーに迎え入れた。「ポケモンGO(Pokémon GO)」を開発したNianticやLINE、ゲームに特化したブロックチェーンを開発するOasys、カカオ・ゲームズ(Kakao Games)などが選ばれた。

今後、パートナー企業は、MYTHトークンを保有するMythos DAOによる投票を経て選任され、その任期は1年となる。パートナー企業は、財団傘下で構成する3つの小委員会に加入する。

〈Mythosの初期パートナー企業〉
ゲーム開発社とパブリッシャー: Krafton、Niantic、Ubisoft、MarbleX (NetMarble)、CM Games、Cocone、Com2S、Kakao Games、PerBlue、Play Studios、Wemade

eスポーツ・ギルド: 100 Thieves、FaZe Clan、Gen.G、Sandbox Gaming、Yield Guild Games、Talon eSports、EVOS

Web3・メタバース: Animoca Brands、Hadean、Klaytn、LINE、OASYS

Web3.0とは:Web3とも呼ばれ、ブロックチェーンなどのピアツーピア技術に基づく、仲介者不在の次世代インターネット構想。個人のデータをプラットフォーマーなどの企業が管理する中央集権的なWeb2とは異なり、Web3では個人がデータを管理し、デジタル資産の所有と個人間での売買が可能になる。
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ミシカル・ゲームズが挑むゲーム×NFT革命

(Blankos Block Partyゲーム上でファッションブランドのバーバリーが展開したNFTコレクション/ミシカル・ゲームズの発表文より)

ミシカル・ゲームズのCEO、ジョン・リンデン(John Linden)氏は、MYTHトークンの保有者が、Mythos財団と他のパートナーと連携することで、ゲーミングにおける革命と民主化を促し、Web3における新しいゲーミング業界を作り上げていくと説明した。

ミシカル・ゲームズがリリースしている「Blankos Block Party」は、「ブランコ」と呼ばれるビニル製のおもちゃをモチーフにしたキャラクターを、メタバースで操りながらプレイするゲーム。プレイヤーはキャラクターのブランコ(NFT)を購入して遊ぶ。

高級ファッションブランドのバーバリー(Burberry)は昨年、いち早くBlankos Block Party上でNFTコレクションを展開。ブランコに装着できるサンダルや馬蹄をモチーフにしたネックレスなどのアクセサリーも作成した。

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東宝とコラボ、ゴジラとモスラもゲーム内に登場

(東宝とコラボして制作されたゴジラとモスラをモチーフにした、Blankos Block Partyのゲームキャラクター/ミシカル・ゲームズの発表文より)

今月4日には、東宝とコラボして制作した「ゴジラ」と「モスラ」のブランコが登場した。

ミシカル・ゲームズが今年発表したもう一つのゲームは、アメリカの4大プロスポーツの1つであるNFL(全米アメフトリーグ)と提携して開発を進める「NFL Rivals」だ。

「Play and Earn(ゲームをプレイしながらトークンを取得する)」型のゲーム「NFL Rivals」は、2023年に世界同時リリースを予定しており、プレイヤーは、チームを率いるゼネラルマネジャーのように、仮想のアメフトチームを組成してゲームを楽しむことができるという。

NFLには実際、32のチームが存在するが、NFL Rivalsではその32チームに所属する選手がNFT化され、プレイヤーは選手をトレードすることができ、試合に勝利したり、特定の目標を達成した場合、プレイヤーはNFTを含むトークンを獲得できる仕組みも用意する。

スポーツ、ファッションとZ世代へのアプローチ

(ミシカル・ゲームズ共同創業者兼CEOのジョン・リンデン氏/coindesk JAPAN撮影)

ナイトロ・ネーションズ・ワールドツアーは、クリエイティブ・モバイル社(Creative Mobile)が開発したカーレースゲーム。ミシカル・ゲームズは2023年中にナイトロ・ネーションズを同社プラットフォームで展開する計画だ。

ゲーム内で利用するレーシングカーはNFT化され、プレイヤーはレースに勝つだけではなく、多くのレーシングカーNFTを収集することが可能だ。

リンデン氏は、coindesk JAPANの取材のなかで、Blankos Block Partyのプレイヤー数は今後1、2年で500万人を超えると予想。NFL Rivalsについては、ユーザー数は同期間で1000万人を想定している。

Z世代が楽しめる次世代ゲームの開発を行う上で、リンデン氏は「ファッション」、「スポーツ」、「ライフスタイル」をキーワードにあげる。さらに、ゲームと世界のトップブランドがコラボできる仕組みは、重要な1要素になるだろうと述べた。

リンデン氏は、VR(仮想現実)を導入したプロジェクトを開発して、Nianticに売却した後、ゲーム開発世界大手のアクティビジョン(Activision)で、大ヒットをおさめたシューティングゲーム『Call of Duty(CoD)』のスタジオ統括を務めた。2018年にミシカル・ゲームズを共同創業した。

|編集:佐藤茂
|トップ画像:ミシカル・ゲームズ共同創業者のジョン・リンデン氏/撮影:coindesk JAPAN