暗号資産保有の「禁止的」な上限はイノベーションを損なう:伝統的金融機関のロビー団体

暗号資産(仮想通貨)保有に「禁止的」な上限を設けることは、ブロックチェーンを使ったイノベーションを損なう可能性があると、伝統的金融機関(TradFi)の8つのロビー団体が10月4日に発表した文書の中でバーゼル銀行監督委員会に対して指摘した。

バーゼル銀行監督委員会は、伝統的金融機関の暗号資産への参入にとってきわめて重要なものとなり得るルールを策定中。同委員会は6月、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)のような裏付け資産を持たない暗号資産への投資は、コア資本の1%未満とすることを提案した。

だが、この上限は「禁止的であり、再調整されるべき」と、Global Financial Markets AssociationやInstitute for International Finance(国際金融協会)をはじめとする伝統的金融機関の代表者は述べた。

問題が解決されない場合、「暗号資産関連の取り組みで顧客ニーズを促進するために必要な投資を行うことは経済的に実行可能かつ合理的でなくなる可能性がある。その結果、この分野は(規制の緩い)ノンバンク部門に移行する可能性がある」。

8つのロビー団体は、上限を銀行のコア資本の1%から5%に引き上げること、そしてグロスではなく、ネットポジションで監督することを求めている。

バーゼル銀行監督委員会は、上限の計算については、暗号資産への個々の投資を単純に合計することを提案した。しかし業界は、ロングとショートのポジションは互いに相殺でき、価格変動リスクから切り離すことができると主張している。

セキュリティトークン(デジタル証券)や法定通貨に裏付けられたステーブルコインなど、安定性が高いと考えられている暗号資産については、同委員会は、ブロックチェーンをベースにしたインフラの「さまざまな予想外なリスク」を反映して、資本の追加負担を望んでいると述べた。

しかしロビー団体の文書は、インフラリスクに対する2.5%の追加負担は「市場を損なう可能性がある」「ブロックチェーンインフラに取り組むことに魅力がなくなる」と指摘した。

EU(欧州連合)などでは、すでにブロックチェーンを使った証券取引のトライアルの法制化が進んでおり、来年始めには開始される予定だ。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Shutterstock
|原文:‘Prohibitive’ Global Crypto Capital Norms Could ‘Derail’ Market, TradFi Groups Say