仮想通貨取引所コインベース(Coinbase)のCEO、ブライアン・アームストロング(Brian Armstrong)氏はオープンな金融システムを築きたいと考えている。
コインベース主催のオープンハウス(自由参加の説明会)にて、同社のロードマップを発表する中で、アームストロング氏は「1億人、もしくはそれ以上の人が仮想通貨(の利用を)始めるようにする」ために、コインベースはブロックチェーン技術の開発と普及において主導的な役割を担い続けていく、と述べた。
アームストロング氏は次のように語った。
「私たちは、実は法律を変えることができます。自分たちが築き上げていくものによって、状況を改善し、世界全体の経済的自由を実質的に変えることができるのです。(中略)コインベースのビジョンは、今後10年間で、世界の全ての個人と企業のために、さらなる経済的自由を作り上げていくことです」
その目的のために、コインベースは同社のインキュベータープログラム、コインベース・ベンチャーズ(Coinbase Ventures)を通じて、業界のスタートアップに投資を続けていく。また、仮想通貨に参入する際のハードルを下げ、人々が仮想通貨を獲得できる方法を広げることを目的とした、一連の製品を展開していく。
「コインベース単独では実現できません。何千もの会社が必要です」と、アームストロング氏は語った。
コインベースはすでに50〜60のスタートアップに投資しているが、セキュリティトークンやイニシャル・エクスチェンジ・オファリング(IEO)といった業界を推進してくれる新しい投資戦略もある、と同氏は指摘した。
アームストロング氏は、今日の新興企業は、仮想通貨ネイティブであることの恩恵を享受できるだろうと述べつつ、コインベースは「コンプライアンスに非常に重点を置き」、従来の金融機関と関係を構築していくことで、「業界最大のカストディアン」へと成長したことを指摘した。
「人々がコインベースを本当に信頼する」ようになったのは、金融セキュリティーとサイバーセキュリティーをこのように重視したおかげだと、アームストロング氏は考えている。同氏は、コインベースの便利で安全というブランドイメージを活用して、「5〜10年後に、10億人の人々が我々の製品を通じて、オープンな金融システムに毎日アクセスする」ような未来を実現したいと望んでいる。
テクノロジー業界で、世界の金融システムを作り変えようとしているのは、アームストロング氏だけではない。しかし同氏は16分に及ぶスピーチの中で、フェイスブック(Facebook)の仮想通貨プロジェクト「リブラ(Libra)」について言及することはなかった。
翻訳:山口晶子
編集:町田優太、佐藤茂
写真:コインベースCEO・ブライアン・アームストロング(Brian Armstrong)氏(CoinDesk提供)
原文:Coinbase CEO Armstrong Says Crypto Is Path to Financial Inclusion