香港政府の財経事務・庫務局(Financial Services and Treasury Bureau:FSTB)は10月31日、香港フィンテックウィークのオープニングで、暗号資産(仮想通貨)に対する声明を発表。香港はグローバルな暗号資産サービスプロバイダーと「対話する用意がある」と述べた。
だが業界はまだ先行きを見守る必要があるとRipple(リップル)のAPAC(アジア太平洋)担当ポリシーディレクターのラフル・アドバニ(Rahul Advani)氏は語った。
アドバニ氏はCoinDeskに「トーンが少し変わった」と述べた。
以前、香港当局は、暗号資産投資はプロの(適格)投資家に限られることを強く望んでいた。FTXのCEO、サム・バンクマン-フリード氏はそうした事情を、昨年、同社が本社を香港からバハマに移した理由の1つとして、新型コロナウイルスに対する厳しいロックダウンとともにあげていた。
「今回の(香港当局の)発表は非常に広範なものだったと思う」「次に我々が期待することは、SFC(香港証券先物委員会)からの諮問。なにが許可されるのか、より具体的になるだろう」(アドバニ氏)
同氏は「細かいところに落とし穴がある」と考えている。SFCは、適格性テストや、シンガポールのような取引高や取引所に関する制限など、あらゆる種類の規制を盛り込む可能性がある。
シンガポールでは、政府は個人投資家の暗号資産投資に反対しているわけではない、だが「すべての個人投資家が暗号資産に投資すべきではないことをきわめて明確にしている」とアドバニ氏は投資家の適格性テストと暗号資産購入のための借入の制限を掲げるシンガポール金融管理局の姿勢を指摘した。
「シンガポールは、セーフガードがあることを保証している」とアドバニ氏は述べた。「個人投資家の暗号資産投資を禁止するつもりはないと言っている。なぜならそれは市場を海外に移動させることになるからだ。それはリスクを解決することではない」
香港 vs シンガポール?
アジアの暗号資産ハブの座はゼロサム、つまり勝者総取りのゲームと主張する人もいるが、アドバニ氏はそう考えていない。
「シンガポール vs 香港の問題ではないと思う。シンガポールと香港の共存できるほど、市場は大きいと考えている」
香港での個人投資家による暗号資産投資の台頭は、シンガポールに犠牲を強いるものではない。だが問題は残っている。台頭がどのようなものかだ。現状は皆が様子見状態だ。
「香港政府からの前向きな発言。我々は詳細を待っているところだ」とアドバニ氏は語った。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:bady abbas/unsplash
|原文:First Mover Asia: Ripple’s APAC Policy Chief Sees Hopeful Shift in Hong Kong Crypto Statement; Dogecoin Soars Again