イーサリアムブロックチェーンの大規模アップデート「Merge(マージ)」は、マイナーへの依存をなくし、エネルギーコストを劇的に削減することで、イーサリアムブロックチェーンの仕組みを根本的に変えた。次に予定されているアップデート「Shanghai(シャンハイ)」は、未解決の問題の解決に重点を置く予定だ。
1カ月の中断を経て、イーサリアム開発者たちは先週、Zoomを使って開催される「Ethereum All Core Developers Call」に再結集した(通常は隔週開催)。イーサリアムのオープンソースコードを管理・維持している企業や個人など、さまざまな立場の開発者たちは、次のアップデートに含める機能について議論した。
スケジュールや含めるべき機能について、開発者たちがすべて合意したわけではない。だがシャンハイの中心的な目的は、バリデーターがブロックチェーンの運営を支えるために「ステーキング」したイーサリアム(ETH)を引き出せるようにすることと再確認した。
Mergeによって、イーサリアムブロックチェーンはプルーフ・オブ・ステーク(PoS)に移行した。PoSは、ネイティブ暗号資産のイーサリアムをブロックチェーンにステーキング(預け入れ)することで、バリデーターに利子が支払われるシステム。現状ではステーキングされたイーサリアムはアンステークできない。つまり、引き出しできない。シャンハイはこれを変更し、バリデーターがステーキングで得た報酬にアクセスできるようにする。
プロト・ダンクシャーディング
引き出しとともに、シャンハイでは開発者向けの小規模な改修がいくつか行われる予定。改修予定リストはまだ確定していないが、イーサリアムブロックチェーンの公式github(ギットハブ)で見ることができる。
しかし、少なくても現時点では、長く望まれてきた機能がシャンハイの仕様書から抜けている。proto-Danksharding(プロト・ダンクシャーディング)だ。
イーサリアムの取引手数料、いわゆる「ガス代」は、高価であることで知られており、ある種の取引には適さないものになっている。2020年末の強気市場のピーク時には、なおさらそうだった。
プロト・ダンクシャーディングが稼働すれば、以前から計画されている「シャーディング」への移行の第1段階となる。シャーディングは、ネットワーク全体を「シャード」と呼ばれる小さな部分に分割することで、スケーラビリティを高める方法のことだ。
プロト・ダンクシャーディングが、予定リストにいつ登場するかはわからない。前回の開発者Zoomでは、プロト・シャーディングの計画は11月くらいに確定するだろうとされた。
とはいえ、イーサリアムブロックチェーンの開発目標は多くの場合、相当に楽観的だ。Mergeは当初、数年前に行われる予定だった。
また、プロト・ダンクシャーディングがシャンハイの仕様書に含まれたとしても、ネットワークのユーザビリティをドラマチックに改善し得るシャーディングの完全実現は、まだ数カ月、あるいは数年先だ。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:中国・上海市のイメージ(shutterstock)
|原文:What to Expect From Ethereum’s Next Big Upgrade