バイナンスが提案したFTXの買収を8日、暗号資産投資家はどう判断すればよいか、迷っていたようだ。
8日、ビットコイン(BTC)は過去2週間のサポートだった2万ドルを割って推移した。買収発表直後、2万ドルを回復したが、すぐに下落し、1万9000ドルを割った。当記事執筆時点では1万8500ドル付近。24時間で10%超の下落となった。
イーサリアム(ETH)とほとんどの主要アルトコインも同様に下落した。イーサリアムは1300ドル付近となっており、24時間で15%超下落した。
渦中のFTXトークン(FTT)は5ドル強、24時間で75%超下落した。ソラナ(SOL)は、サム・バンクマン-フリード氏が自身のトレーディング企業アラメダ・リサーチ(Alameda Research)の流動性を高めるために保有しているソラナを売却するかもしれないとの憶測から7日に下落したが、さらに20%超下落。バイナンスのBNBトークンは市場のパフォーマンスを上回ったが、それでも約4%下落した。
CoinDesk Market Indexは、10%も下落した。
「FTXトークンは、不可能ではないにしても回復は非常に困難だろう。一方、ソラナといくつかの暗号資産も、信頼が完全に損なわれたようで損失を被りそうだ」と暗号資産運用会社BitBull Capitalのジョー・ディパスクァーレ(Joe DiPasquale)CEOは述べた。だが同時に同氏は「ビットコインが極端なシナリオに直面すると考えていない。実際、市場参加者がリスクの高い資産から撤退することで、(ビットコインへの)資金流入が増加する可能性がある」と楽観的に指摘した。
「いずれにせよ、規制当局の関心を集める可能性が高いので、業界にとっては、問題が早く解決されることに越したことはない」(ディパスクァーレ氏)
株式市場は前日7日からの勢いを保ち、ナスダックとS&P500はわずかに上昇、ダウ平均は1%上昇した。
安全資産とされるゴールドは上昇傾向が続き、2.2%上昇した。
NEAR財団のCEO、マリーケ・ファメント(Marieke Fament)は「現在の弱気相場では統合は避けられない」としつつも、FTXの問題とバイナンスによる買収提案は学習経験になるだろうとも考えている。
「暗号資産の冬に、隠れる場所はない。そして、バイナンスによるFTX買収のような進展は、一部の主要なプレーヤーが抱える課題と透明性の欠如を浮き彫りにしており、 暗号資産の評判を損なうことになる」とファメント氏は述べた。
「この先、暗号資産エコシステムがこれらの過ちから学び、そして、誠実さ、透明性、消費者保護をビジネスの中心に据えた強力な業界を作り上げることを願っている」
最新価格
●CoinDesk Market Index(CMI):923.69、-10.3%
●ビットコイン:18,506ドル、-9.7%
●イーサリアム:1,319ドル、-15.2%
●S&P500:3,828.11、+0.6%
●ゴールド:1,716ドル、+2.3%
●米国10年債利回り:4.13%、-0.1
テクニカル分析
バイナンスによるFTX買収は、多くの疑問を生んでいるが、簡単に答えを出すことは難しい。超大型の買収は、市場を揺るがす恐れがある。
意外な出来事だが、バイナンスはFTXを完全に買収することになった。両社は、FTXの流動性危機を乗り切るために、拘束力のない趣意書(LOI)を締結した。これは拘束力を持たないため、バイナンスはいつでも買収から撤退できる。
アルトコイン
●FTXトークンは80%下落:CoinDeskは先週、アラメダ・リサーチ(Alameda Research)が流動性の低いFTXトークン(FTT)を大量に保有していると伝えた。アナリストによると、FTXトークンの暴落は、アラメダのバランスシートから数十億ドルを失わせ、財務的な苦境が深まる可能性がある。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:CoinDesk
|原文:Market Wrap: Binance/FTX Deal Sends Bitcoin, Other Cryptos Spiraling