FTXの苦境が続くなか、暗号資産(仮想通貨)市場は9日、大きく下落した。
ビットコイン(BTC)は当記事執筆時点、1万6300ドル付近、10%超の下落で、2年ぶりの低水準。FTXの流動性危機、同取引所からの大量の資金流出、ライバルのバイナンス(Binance)が買収方針を撤回したことなどに振り回されている。
「新たな下落要因。ビットコインが9000ドル付近まで下落しても驚かない。ビットコインから手を引き、再び参入する機会を狙っている私にとっては、実際はポジティブなことだろう」とPath Trading Partnersの共同創業者兼チーフ・マーケットストラテジストのボブ・イアチーノ(Bob Iaccino)氏は語った。
イーサリアム(ETH)は1150ドル付近、約12%下落し、7月以来の安値となっている。
他の主要アルトコインも3日連続で下落した。FTXトークン(FTT)は約80%下落した後、さらに24時間で約50%下落し、当記事執筆時点ではわずか2.62ドル付近。ソラナ(SOL)は45%超下落し、ここ数日の下落が続いている。比較的好調だったバイナンスコイン(BNB)も約15%下落した。
CoinDesk Market Indexは、8%下落。
株式市場も下落した。ナスダックは2.4%、S&P500は2%、ダウ平均はは1.9%下落した。ゴールドもやや下落。
オアンダ(Oanda)のシニア・マーケットアナリスト、エドワード・モヤ氏は、FTXの失敗と高い評判を得ていたCEOのサム・バンクマン-フリード氏は、業界を震撼させたとメールで述べた。
「サム・バンクマン-フリード氏は問題ないと思われていた」とモヤ氏。「同氏は業界にとって『ホワイトナイト』だった。FTXの崩壊は安全な人は1人もいないことを意味している。安定した期間は終わり、今は他の関連リスクが出現するかどうかを見守っている」。
最新価格
●CoinDesk Market Index(CMI):809.33、-11.6%
●ビットコイン:15,925ドル、-14.4%
●イーサリアム:1,118ドル、-16.3%
●S&P500:3,748.57、-2.1%
●ゴールド:1,709ドル、-0.2%
●米国10年債利回り:4.15%、±0.0
テクニカル分析
FTXの問題が引き金となったボラティリティは、ステーブルコインの流出を招いた。Nansenのデータによると、11月7日までの7日間でみると、FTXから最も多くのステーブルコインが移動(流出)している。その額は、約4億5100万ドル(約656億円)にのぼり、KuCoin、Crypto.com、OKXの流出額の合計を上回った。
具体的には、FTXのUSDコイン(USDC)とテザー(USDT)の保有高が劇的に減少した。4日から8日にかけて、USDコイン保有高は約1億3700万ドル、約84%減少。テザー保有高も1億9800万ドルから6800万ドルに減少した。
CryptoQuantによると、FTXのステーブルコインの保有高は現在、約1億5600万ドルで、10月24日から78%超の減少となっている。
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アルトコイン
●バイナンス、緊急保険基金「SAFU」を10億ドルまで補填:SAFUは2018年7月、バイナンスがユーザー資金を保護するために設立した緊急保険基金。設立時にバイナンスは取引手数料から一定割合を費やし、かなりの基金を用意した。FTXの流動性危機をめぐって暗号資産市場が下落するなか、バイナンスはバイナンスコイン(BNB)とバイナンスドル(Binance USD)を7億ドル、ビットコインを3億ドルまで補填した。
●FTX問題に打撃を受けるなか、8億ドル相当のソラナがアンロック:ソラナ(Solana)ブロックチェーンのバリデーターには「エポック370」と呼ばれるロック期間の終了が迫っている。ロック期間が終わると、約8億ドル相当のソラナがアンロックされ、市場に出回ることになる。これはソラナの供給量の約15%に相当し、下落圧力となる。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:CoinDesk
|原文:Market Wrap: Bitcoin, Other Cryptos Continue to Plummet